アジア・中東・アフリカで活動する国際協力NGOです。
  • JVC facebook
  • JVC twitter
  • イベントメルマガ配信中
  • 文字サイズ:大きく
  • 文字サイズ:中くらいに
  • 文字サイズ:小さく
JVC English website
南アフリカでの活動

HIV/エイズの活動

南アフリカ事業担当 渡辺 直子
2013年7月 2日 更新

活動概要

世界一の格差社会とも言われる南アフリカ。発達した都市(写真上)のすぐそばにスラム街が広がります(写真下)。世界一の格差社会とも言われる南アフリカ。発達した都市(写真上)のすぐそばにスラム街が広がります(写真下)。

南アフリカでは、全国で560万人、大人の5人に一人がHIVに感染しており、一国内でのHIV陽性者数は世界最多です。多くの特に働き盛りの年代が命を落とし、親のいない子どもが増え続け、現在210万人のエイズ孤児がいると言われています。一方で、2004年からは公的医療機関にてエイズ治療薬(ARV)の無償支給がはじまり、HIVの感染「=死」ではなく、生涯をかけて付き合っていく慢性病になりつつあります。

世界一の格差社会とも言われる南アフリカ。発達した都市(写真上)のすぐそばにスラム街が広がります(写真下)。世界一の格差社会とも言われる南アフリカ。発達した都市(写真上)のすぐそばにスラム街が広がります(写真下)。

しかし、ARVの普及は多くの命を救う一方で、世界一の格差社会と言われる南アフリカに暮らす貧困層の人びとは仕事など生活の糧がなく、「いかに生き抜いていくか」という新たな課題に直面しています。また、貧しさゆえに食事が摂れず、強い副作用によって薬をあきらめざるをえず命を落とす人も後を絶ちません。

こうしたなかJVCは、特に医療機関や公的なサポート体制が不足する農村貧困地域リンポポ州ベンベ郡において、2012年度から3年間の予定で、HIV/エイズに取り組むための活動を開始しました。活動はコミュニティケアに携わる現地NGO・LMCC(Light of Mercy Community Care)と協働で行います。

活動は、訪問介護ボランティアの育成、ケアの必要な子どもの支援、HIV陽性者や自助グループ活動のサポート、予防啓発活動の強化、家庭菜園づくりの5本柱を中心に行います。

(1)在宅介護ボランティアの育成

地域の患者を訪問介護するLMCCのボランティアたち地域の患者を訪問介護するLMCCのボランティアたち

HIVに感染した人は差別などを恐れ、自分が感染していることを誰にも公表できないなかで、精神的に追いつめられると同時に、必要な情報にアクセスすることもできずに症状を悪化させ死にいたる人も多くいます。また南アには交通費・治療代などの問題で病院にアクセスできない人もいます。ARV(エイズ治療薬。ウィルスの増殖を防ぐ薬)の登場でHIV/エイズが死にいたる病気ではなくなりつつある一方で、治療へのアクセスが遅れ、手遅れになってしまうケースや、副作用の強いARVの服薬を途中でやめて亡くなる方も少なくありません。こうした事態を防ぐために、地域のボランティアが村内の家庭を定期的に訪問し、ケア、家族へのサポート、カウンセリング、治療などについて適切なアドバイスの提供を実施していくことが重要となっていいます。

このボランティアは主に地域の母親たちが担っていますが、彼女たちは保健・医療のバックグラウンドをもっていません。JVCでは在宅介護ボランティアに介護や栄養・治療に関するトレーニングなどを実施し、HIV陽性者が地域の中で適切なケアを受けられるよう活動します。

(2)HIV/エイズの影響を受けている子どもたちへの支援

ドロップインセンターに通う子どもたち。放課後は子どもたちの声でにぎやかになる。ドロップインセンターに通う子どもたち。放課後は子どもたちの声でにぎやかになる。

HIV陽性者が増えるなか、親を亡くす、介護を強いられる、自身が母子感染して生まれてくるなどエイズの影響を受けるこどもが増加しています。JVC活動地にも、300人を超えるエイズの影響を受ける子どもがいます。これらの子どものケアは、家庭に世話をする大人がいない場合は、在宅介護ボランティアや、あるいは特別なケアの必要な子どもが毎日通える場である村内のドロップインセンターにいる子どもケアボランティアが担っています。 

JVCでは、子どもが子どもらしい時間を持てるための、そして同じ状況にいる子どもと経験を共有するためのキャンプを開催したり、センターで子どもたちが学校終了時から夕方までの時間を充実して過ごせるよう運営改善の研修を実施したり、本や絵具、遊具を提供します。同時に地域の子どもたちが抱える問題を早期発見したり、問題に対応できるように、子どもケアボランティアを対象にしてカウンセリングや救急法に関する研修、また栄養トレーニングを実施します。

(3)陽性者自身による活動の支援

HIV陽性者自身が病気や治療に関して正しい知識や情報を得ることで、適切なタイミングで病院に行けるようになるなど、自分で自分の健康を守ることができるようになります。そのためにJVCでは、陽性者を対象として、HIVウィルスと体の症状、ARVの副作用など、エイズ治療に関するトレーニングを実施します。また、HIV陽性者が悩みや経験・情報を共有し支えあう仕組みとして自助グループ活動を強化します。

(4)HIV/エイズに対する正しい知識が普及するような予防啓発活動

地域におけるHIV/エイズに対する正しい知識や態度が培われ、コミュニティにHIV陽性者を受け入れる土壌ができることを目指します。JVCは(1)~(3)を通じてHIV/エイズに関する正しい情報や知識を得た在宅介護ボランティアや子どもケアボランティア、HIV陽性者自身を対象に、彼女・彼らから地域住民や若者、あるいは感染の可能性のある人たちにHIV/エイズに関する知識を伝えていけるよう、予防啓発トレーニングを実施します。

(5)家庭菜園の充実

ボランティアたちから地域の患者や子どもたちに野菜を届けたり、活動が広がっていくことを期待して研修を実施します。ボランティアたちから地域の患者や子どもたちに野菜を届けたり、活動が広がっていくことを期待して研修を実施します。

HIV陽性者が健康を維持していくためにバランスのとれた栄養状態を保つことは不可欠です。また、ARVは強い薬であり副作用もあるため、治療を始める前に栄養状態も含めできるだけ体調を整えておく必要がります。しかし、貧困ゆえにじゅうぶんな食料を購入する資金のない人が多く、また、店まで遠いため新鮮な野菜を日々購入できないケースもあります。このようななか服薬をあきらめて命を落とす人も少なくありません。

JVCは他の活動地での経験を活かして、HIV陽性者やその家族、在宅介護/子どもケアボランティアを対象に、菜園づくりおよび栄養に関する研修を実施します。

2012年度の活動

現状把握調査

違う村で活動する訪問介護ボランティアがお互いの村を訪問。それぞれの活動の様子について観察し、現時点の課題などを洗い出しました。違う村で活動する訪問介護ボランティアがお互いの村を訪問。それぞれの活動の様子について観察し、現時点の課題などを洗い出しました。

4月に新しいプロジェクトマネージャーが赴任、5月より活動視察や現地関係者との関係構築など事業開始に向けた準備を行ない、8月より活動開始前の状況を確認するための現状把握調査を開始しました。
調査では、ボランティアたちの活動状況や子どもの抱える課題、菜園実施状況などについて確認しました。その結果、ボランティアたちの薬の種類や病気への対処法に関する知識のレベルや村間における活動の質の差があることがわかり、今後の活動の参考になるデータが得られました。また菜園については、調査対象90名の半数以上が何らかの形で菜園づくりの経験があり、25%が年間を通じて主食を自給できているなど活動にとってポジティブな要素があることも確認されました。

研修

現状把握調査の結果を受けて、9月より様々な研修を開始しました。

エイズ治療に関する研修

女性の身体の仕組みと機能を等身大のポスター絵に描いて、感染の仕組みなどについて学びました。女性の身体の仕組みと機能を等身大のポスター絵に描いて、感染の仕組みなどについて学びました。

9月、2月に80名弱の在宅介護/子どもケアボランティアおよびLMCCスタッフを対象にHIV/エイズ治療に関する研修を実施しました。

研修では、体の仕組みやHIV感染の経路、ARV(エイズ治療薬)の服薬方法などについて学びました。研修は好評で「これからは自信をもって患者に薬と病気のことを説明できる」といった声が聞かれました。

そのなかで、各トピックごとに実施されたプレ/ポストテストで、全てのトピックにおいて点数が向上し、研修を通して新たな知識を得ることができたことが確認されました。患者にエイズ治療薬の服薬などの指導を適切に行っているかなどは、今後のモニタリングの中で測っていきます。子どもケアボランティアについては普段保健医療を専門の仕事とはしていないため、得たエイズ治療に関する知識をどのように若者に対する啓発に生かしていくか、今後一緒に計画をつくりながら活動を強化していく予定です。

ARVの組み合わせについて学ぶボランティアたち。ARVの組み合わせについて学ぶボランティアたち。

家庭菜園研修

トレーナーにはJVCの過去の活動地における家庭菜園研修参加者で、すでにトレーナーとしての活動実績もあるアベル・コマネさんを迎えました。トレーナーにはJVCの過去の活動地における家庭菜園研修参加者で、すでにトレーナーとしての活動実績もあるアベル・コマネさんを迎えました。

11月には家庭菜園研修を開始、スタッフおよびボランティア約80名を対象に、まずは座学で自分たちの食生活の振り返りを行いました。そこでは、参加者たちが思った以上に栄養や添加物の体に与える影響等に関心があるものの、食料の購入時において選択肢がない現実が浮かび上がり、家庭菜園づくりの意義などが確認されました。2013年1月からは、各村でトレーナーをサポートしながら研修を実施し、モニタリングを担う人材を育成としてファシリテーター養成研修を行ない、12名のファシリテーターが養成されました。

3月には、2013年度以降に実施する予定の経験交流の準備として、自然農法を実践する東ケープ州の農村(JVCが過去成果を挙げた事業地)を、菜園活動のトレーナーとJVCスタッフで訪問し、農民からアドバイスをもらうなど今後の活動の進め方に関するアイディアを得る機会となりました。

子どもキャンプ

伝統ダンスを披露する子どもたち。伝統ダンスを披露する子どもたち。

12月にドロップインセンターに通う子どもたちなど150名が参加して、子ども経験交流を行いました。各村の子どもたちがエイズ予防啓発に関するドラマや伝統ダンスを披露するなど、子どもたちの関係を深める機会となりました。

カウンセリング研修

熱心に研修を受ける、子どもケアボランティア。全17名のボランティアが参加しました。熱心に研修を受ける、子どもケアボランティア。全17名のボランティアが参加しました。

3月には子どもケアボランティア18名(スタッフ1名含む)にを対象に、子どもたちの悩みを聞き、解決できるように、地域ボランティアとしての役割を見つめ直し、カウンセリングなどのスキルを学ぶための研修を実施しました。その後、ステークホルダーとの関係向上や、課題解決能力を向上させるための施策に各センターでとりくみ、モニタリングを行っています。

一番の成果は、ボランティアたちが自信をつけたことで「今まで手さぐりでやっていた活動が地域の役に立っていることを実感できた。自らの課題を知ることでもっと学びたいという意欲が湧いてきた」との声が聴かれました。

参加者の声

  • リジー・マエザさん(子どもケアボランティア)
    研修を通じて私たちの存在が子どもたちにとってだけではなく、地域にとって重要なことを実感。同時に、責任を果たすために、もっとスキルアップを図っていきたいと思いました。
  • フローレンスさん(子どもケアボランティア)
    お金を出して食べ物を買わなくても、自分で育てることができる。そして、健康にも環境にとってもその方が良い。それを多くの人に伝えていきたい。
リジーさんリジーさん
フローレンスさんフローレンスさん

2013年度の計画

訪問介護および子どもケアボランティアについては、今後も同様の研修を継続すると同時に、患者や子どもたちの怪我や病気に対応できるよう救急法など実践的なスキルの向上も図っていきます。家庭菜園研修においては2013年度より各村・各家庭での研修を開始します。また患者や子どもをサポートしていくために学校など地域の関係者と連携した活動のあり方も模索していく予定です。また今年度からHIV陽性者を直接対象とした活動も行っていく予定です。

HIV/エイズへの取り組み

HIV陽性者グループがつくっているビーズバッジHIV陽性者グループがつくっているビーズバッジ

南アフリカでは、HIV陽性者が互いにサポートしあう目的で作られたグループが活発に活動しています。

JVCは、ビーズ工芸の購入・販売を通してHIV陽性者グループへの支援を行なっています。ほかにも南アの民族衣装をあしらったお人形もふくめてボランティアチームHP上で販売しています。

http://www.ngo-jvc.net/blogs/africateam/shop.htmll

あなたも南アフリカに関わりませんか

Facebook コメント

団体案内
JVCの取り組み
11ヵ国での活動
イベント/お知らせ
現地ブログ
あなたにできること
その他
特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター
〒110-8605 東京都台東区上野5-3-4 クリエイティブOne秋葉原ビル6F 【地図】
TEL:03-3834-2388 FAX:03-3835-0519 E-mail:info@ngo-jvc.net