アジア・中東・アフリカで活動する国際協力NGOです。
  • JVC facebook
  • JVC twitter
  • イベントメルマガ配信中
  • 文字サイズ:大きく
  • 文字サイズ:中くらいに
  • 文字サイズ:小さく
JVC English website
スーダンでの活動

紛争の影響を受けた人々への支援活動

2015年7月27日 更新
南コルドファン州周辺地図

JVCが南コルドファン州に活動の拠点を移した後の2011年6月、政府軍と反政府軍との大規模な紛争が勃発しました。州都カドグリにあったJVC事務所は市街戦の最中に襲撃、略奪を受け、日本人駐在員は緊急退避をしました。

紛争は瞬く間に州内に拡大し、各地で激しい戦闘や空爆が行われました。村を焼かれた人々は山中を逃げまどい、何万人もの国内避難民となってカドグリに流入してきました。そのほとんどは女性と子どもです。この知らせを受け、JVCは同年11月にスーダン人職員を呼び戻して閉鎖されていた事務所を再開。避難民への緊急食料支援を開始しました。残念ながら日本人駐在員は安全上の理由から現地に戻ることはできず、首都ハルツームにて活動を統括しています。

その後、避難民は、親戚や同郷の知り合いを頼ってカドグリ市内や周辺の半農村地帯で生活を始めました。JVCは食料支援を終了し、こうした人たちが自らの手で食べ物を得ることができるような農業や生計活動の支援に活動の軸足を移しました。まずは農具や穀物の種子の支援。避難民だけを支援して不公平感が広がることのないよう、同じように紛争の影響を受け、避難民を受け入れている地域の住民も対象にしました。さらに女性を中心とした菜園づくりを支援。子どもたちの栄養が改善され、販売した野菜は家計の助けにもなっています。

2013年度からは、避難民の居住区を中心に井戸掘削など給水設備の支援も開始しました。2014年度から2015年度にかけては、国連機関と協力して避難民の再定住用の住居を建設します。

「早く故郷に帰りたい。村に帰れば自分たちの家も畑もある」という避難民。しかし紛争が起きてから4年が経過した今も、停戦の兆しは見えません。5万人もの避難民が生活するカドグリでは、今も一部の避難民は学校や広場に建てたバラックで生活し、農地など生計手段は不足し、子供の教育なども大きな問題になっています。

そうした中でも人々が希望を失わず、自分たちの手で生活を改善していくため、JVCは2015年現在、次のような活動を行っています。

活動対象地域

(1)南コルドファン州カドグリ郡

紛争前、2010年の調査では人口13万5千人。紛争が勃発した2011年に州都カドグリ市では激しい市街戦が起きましたが、その後は政府軍が制圧し、治安は回復しています。カドグリ市内と郊外の半農村地帯には5万人を超える避難民が流入。今も不自由な生活を送っています。

なお、カドグリ市の西部、南部に広がる丘陵地帯にも多数の村落がありますが、反政府軍の影響が強い地域であり立ち入ることができません。

(2)南コルドファン州リフ・アシャギ郡

カドグリ郡の北に隣接する郡。紛争前の人口は5万7千人。農耕のほか、多くの人々が牧畜に携わっています。郡の東部では2013年に大規模な戦闘が起き、約2万人以上が郡の中心であるクエイクの町やカドグリに避難したまま、今も帰還できていません。

活動内容

(1)避難民と地域住民による乾季の菜園づくり支援

この地域は、5月から10月までの半年間に雨が降り、その間に農耕が営まれます。そして11月から4月の半年間は、ほとんど雨の降らない乾季となります。乾季には、人々は近くの山で木の実を集め、薪を拾い、炭を焼くなど自然の恵みを受けながら、あるいは町に出て出稼ぎをして生計を立ててきました。

しかしカドグリ周辺で生活をする避難民にとって、故郷の村のように自由に山に入るわけにはいきません。避難民の多くは小さな子どもを抱えた母親なので、遠くまで出稼ぎに行くわけにもいかず、そもそもそうした機会も限られています。

そこでJVCは、それまで乾季には使われていなかった住居の裏庭や井戸の周りのスペースを活用して、家庭菜園づくりを提案しました。収穫物は家庭の食卓にのぼるほか、市場で売れば貴重な現金収入源となり家計を助けます。

【参加者】

避難民と地域住民とを合わせ、2012~13年の乾季はカドグリ郡内で600世帯が参加、2013~14年には郡内の別の地区で400世帯以上が参加。参加者の多くは、JVCの支援が終了したあとも自分たちで菜園づくりを継続しています。2014年からはリフ・アシャギ郡にも拡大して実施中です。

【JVCが支援する内容】

【1】専門家による研修の実施
参加者の多くは、雨季には耕作をしていても、乾季の野菜づくりはあまり経験がありません。そこで、農業専門家による研修を提供して、菜園のデザイン、畝の作り方と種まきの仕方、効果的な水やりの方法、家畜のフンからの肥料の作り方などを学べるようにします。
【2】小規模灌漑の支援
灌漑用水は、近くの手押しポンプ井戸、または小さな溜池です。手押しポンプ井戸の補修や、菜園に水を運ぶための手押し車、効率的な水やりのための如雨露(じょうろ)を支援。溜池から水を汲み上げる足踏みポンプも支援を予定しています。
【3】種子の配布
これまでに、現地で一般的なオクラ、ルッコラ、モロヘイヤ、クレソンなどの種子を支援しました。今後は、栽培に工夫がいりますが付加価値が高いトマト、ナス、スイカなどの種子を配布する予定です。

【参加者の声】

・ルドワンさん(カドグリ郡で生活する避難民)
「避難民なので畑はないけれど、乾季の間に少しだけ貸してもらって菜園を作った。研修は役に立ったよ。畝の作り方とか、それまで知らなかったしね。収穫した野菜は子ども5人と食べて、あとは市場で売った。1日おきに20スーダンポンド(約300円)になって、砂糖やお茶、時々は肉も買ってきた。菜園を始めてから、朝起きた時に『今日は何を食べたらいいか...』と心配する必要がなくなったんだ」
・アシャさん(カドグリ郡の地域住民)
「収穫した野菜はいろんな料理にしたよ。クレソンは豆と煮込んで、ルッコラはピーナツ・ペーストと混ぜてサラダ。あとは、市場に持って行って自分でゴザを広げて売った。1回でオクラが30スーダンポンド(約500円)、モロヘイヤとルッコラ合わせて30スーダンポンドくらい売れたよ。研修を受けたけど、肥料にはちゃんと作り方があるって始めて分かった。前は、ただウシのフンを畑にまくだけだったんだよ」

(2)給水支援(井戸の新設・補修と維持運営の仕組み作り)

【JVCが支援する内容】

【1】手押しポンプ井戸の新設
カドグリ近郊の半農村部では、生活用水は手押しポンプ井戸に頼っています。集落によっては数十世帯から百世帯以上の避難民を受け入れており、これまでの井戸だけでは必要な水をまかなうことができません。井戸で長時間並ばなければ水を得ることができなくなり、水汲みをする女性や子どもの負担が増加します。
JVCは、多数の避難民が居住する地区を中心、2014年1月以降に10本の井戸を新設しました。今後も、必要に応じて設置を進める予定です。
【2】手押しポンプ井戸の補修
既に井戸がある地域でも、紛争による住民の移動(州外への退避)や新しい避難民の流入により、住民がこれまで行ってきた井戸の維持運営(定期点検と消耗部品の交換など)が難しくなっています。そのために多くの井戸が故障したまま稼働していません。
JVCは2014年1月以降、10本以上の井戸を補修しました。集落によっては、過去に研修を受講して実際に修理するなどの経験を積み、井戸の補修技術を持った住民がいます。そのような場合には、JVCは必要な交換部品を提供するなどの最低限の支援を行い、住民自身の手で補修を実施してもらいます。
今後も、避難民や住民と話し合いながら必要な補修を行っていきます。
【3】住民による維持運営の仕組み作り
井戸の新設、補修のいずれの場合も、大切なことは今後、住民が自分たちで適切な維持運営を行っていくことです。そのためには、維持運営を中心になって行う住民(井戸管理委員会)が選ばれ、基本的な井戸の点検や補修の知識・技術を身に付けること、また、消耗部品などを購入する費用のための積立金を住民から集めることが必要になります。
JVCは、こうした仕組みづくりのため、住民に「井戸の正しい使い方や定期点検の大切さ」を伝える寸劇などの啓発活動、井戸管理委員会への技術研修や運営管理のための研修などを実施していきます。

【参加者の声】

・モハメドさん(カドグリ郡で生活する避難民グループ50世帯のリーダー、写真左端)
「去年(2013年)の4月に村が襲撃され、ここに逃れてきて草や木で家を作った。水は遠くの井戸まで汲みにいくか、川底からすくって飲んでいた。今年3月にJVCがここに井戸を掘ってからは、どの家もここで水汲みをしている。壊れたらみんなが困ってしまう。井戸管理委員会を作って少しずつ資金を集め、自分たちで修理ができるようにしたい」

(3)避難民の再定住を支援

カドグリ市内では、受け入れ先となる地域を見つけることができなかった一部の避難民が、今も最初の避難場所だった学校や広場で生活を続けています。その数は約千人。その学校は未だに閉鎖されたままです。また、紛争が起きた時に持ち主が州外に退避したために空き家になった家では、数多くの避難民が暮らしています。そこに持ち主が戻ってきた際のトラブルも起きています。「このままでは地域住民と避難民との争いになってしまう」とカドグリ郡役場は不安を口にします。

こうした状況を緩和するため、2013年には州政府と国連機関が協力して避難民の再定住用の住居を2か所に建設しました。故郷の村に帰る見通しが立たない中で、避難民の8割が「このままカドグリの住み続けてよい」と答えていますが(州人道支援局の調査)、そうした避難民の中から、市内の学校、広場や空き家に住んでいる人を中心に再定住用の住居への入居が進められました。

JVCは、2か所のうちの1か所、ティロ地区の再定住用住居230戸への給水支援を担当。2013年11月に揚水機付き井戸による給水施設(ウォーターヤード)を完成、入居者に引き渡しました。その後、ウォーターヤードは入居者が自分たちで運営をしています。

2014~2015年度にかけては、さらに100戸の住居の新設が計画されており、JVCは州政府や国連機関と協力しながらその建設を進めています。

(4)避難民と地域住民とが信頼関係を築くための場をつくり、地域の安定を目指す

これまで述べてきたように、水や農地の利用、また避難民が空き家や広場・学校などに住み付いていることなど、避難民と地域住民との間には様々なトラブルの原因が横たわっています。それが争いに発展する恐れもあります。

JVCは活動の中で、菜園用地や井戸の共同の利用を進めるため、お互いが十分に話し合う場を設定します。各種の研修や井戸管理委員会には、同一地域内のすべての住民グループに参加を促します。これらを通じて、避難民と地域住民など、異なるグループの住民が相互の信頼関係を深めることを目指します。

Facebook コメント

団体案内
JVCの取り組み
9ヵ国での活動
イベント/お知らせ
現地ブログ
あなたにできること
その他
特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター
〒110-8605 東京都台東区上野5-3-4 クリエイティブOne秋葉原ビル6F 【地図】
TEL:03-3834-2388 FAX:03-3835-0519 E-mail:info@ngo-jvc.net