パレスチナ医療救援協会(PMRS)による即時停戦の要求(2023.10.21)
2023年10月7日、ガザからの越境攻撃とロケット弾の発射への報復として始まったイスラエルからの激しい空爆は、これまでにおける両者間の攻撃で最も多くの犠牲者を出しており、未曽有の事態となっています。
逃げ場のない40km×10kmという小さなガザ地区全域に容赦なく空爆が実施され、220万人が逃げ惑っています。
空爆開始直後から、電力とインターネット、水や食料、燃料、医療物資の輸送を止められたうえ、ガザの北部から南部へ人々が強制的に移動させられましたが、その間にも各所で空爆は継続され、避難途中の人々が犠牲になりました。
国際法で違法とされている白リン弾(1)をイスラエルは使用しており、多くの人が爆撃による負傷だけでなく、重度の火傷も負っています。
11月1日現在、ガザにおける死者は8,525名(うち子どもが3,542名)、負傷者は21,543名となっています。
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(1)白リン弾は特定通常兵器使用禁止条約の議定書IIIでは焼夷兵器と見なされており、民間人の中に位置する軍事目標に対して焼夷兵器を使用することを禁じている。白リンは乾燥した空気中において激しく燃焼するため、燃焼した粒子が皮膚に付着した場合、重度の火傷を引き起こす。人間の皮膚を焼きながら骨まで達するため、治療から数日経った後でも空気に触れて再び発火することがある。また長時間の接触によって火傷部位から体内にリンが吸収され、肝臓、心臓、腎臓が損傷し、場合によっては多臓器不全に陥るため、死亡リスクが高まる。(参考:https://hrw.org/ja/news/2009/01/22/235346)
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国際人道法違反とされるさまざまな非人道的な攻撃が継続される中で、医療機関・サービスも限界を超えた状況で患者を受け入れ続けています。
JVCが過去にともに事業を実施したことのある現地のNGO・パレスチナ医療救援協会(PMRS)はガザにも支部があり、ガザ内でまだ活動している数少ない団体の一つです。
10月21日、そのPMRSから、即時停戦を訴える声明が発表されましたので、ご紹介します。
パレスチナ医療救援協会(以下、PMRS)は即時停戦を要求します。
PMRSは、人道援助物資のガザへの無制限な輸送を求めます。PMRSは、女性、子ども、若者、高齢者、障がい者を含むすべての弱者の保護を求めます。
PMRSは、病院、診療所、学校、礼拝所、人々が避難している場所など、民間インフラの保護を求めます。
ガザの状況は壊滅的です。現在の人道危機を悪化させることは、非人道的であり犯罪です。
何とか機能していた病院も、絶え間ない爆撃と押し寄せる患者への対応で、今や崩壊しようとしています。多くの病院では、麻酔薬、鎮痛剤、鎮静剤、その他の必要不可欠な薬品や物資が不足しています。
まだ何とか機能している病院は、廊下での手術を余儀なくされています。
子どもたちは病院の床で、鎮静剤なしで腹部や骨の手術を受けています。アル・シファ病院やヨーロッパ・ガザ病院を含む多くの病院では、主な水源が小さな井戸しかありません。燃料も今にも底をつくところまで来ており、燃料の枯渇は医療サービスの停止を意味します。
イスラエルが水の供給を止めたことで、いま現在供給されている量は、1家族当たり1日3リットル未満となっており、脱水による死の脅威が人々に迫っています。
さらに、電気や燃料がなければ、海水の淡水化(海水を処理して淡水=真水を作り出す)や、地下から水をくみ上げるポンプが機能しません。食料も不足している中、電力不足により冷蔵設備がなくなることで、ガザ内にある食料を保存することもできなくなります。
医療施設と医療職者は、引き続きイスラエル軍によって意図的に攻撃の標的にされています。
アル・ドゥッラー小児病院は14日、禁止されている白リン弾の標的となり避難を余儀なくされました。また、17日には、アル・アハリ・バプテスト病院が爆破され、数百人が即死しました。世界保健機関(WHO)は、10月7日以降、ガザでの医療に対する60件以上の攻撃を報告しており、これらは国際人道法違反であり、戦争犯罪に相当します。
(翻訳:JVCパレスチナ・エルサレム事務所)
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