NGOによる外務省への要請文:一刻も早いガザ停戦に向け、さらに強い働きかけを求めます
上川 陽子 外務大臣
昨年10月7日のイスラエルによるガザ侵攻から7ヶ月が経過した5月7日、イスラエルはガザ南部のエジプトとの国境にあるラファ検問所を含むラファ東部の一部地域を制圧しました。前日の5月6日には、パレスチナの武装勢力の攻撃を理由にケレム・シャローム検問所も閉鎖され、ガザの人たちにとって命綱である人道支援の要所となる2つの検問所へのアクセスが拒否されています。
5月6日のイスラエルによるラファ東部からの避難勧告は、エジプトにおける関係各国による停戦交渉の様子を見守っていたガザの人びとのわずかな希望をも打ち砕くものでした。10月7日以降たびたび発せられてきたイスラエルによるガザ市民の「強制移動」は明らかな国際法違反です。国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、ラファ東部には9カ所の避難所、3つの診療所や6つの支援物資を保管する倉庫があり 、ラファ検問所は燃料の唯一の搬入口でもあるため、これらの地域がイスラエルに占拠されることは、ガザの市民の保護や生命の維持に重大な影響をもたらすことを意味します。さらにラファ検問所の閉鎖は、ガザの人たちが安全を確保するためにエジプトや第三国に避難する権利をも奪うことになります。
イスラエルにより移動が制限されているガザ北部では、食料をはじめとした支援物資の搬入が困難を極め、深刻なレベルの栄養失調が発生しています。3月5日の時点でガザ北部の病院を訪問したWHOのテドロス事務局長は子どもが餓死している状況を確認したと自身のSNSに投稿しています。そして、ラファ検問所の閉鎖は、ガザ北部で起こっているこれらの状況がガザ南部でも確実に起こることを示唆しています。UNICEFも「(ラファが)長期にわたって閉鎖された場合、支援機関がガザ地区全体の飢饉を回避することは難しい」 と述べています。
10月7日以前からガザの市民の8割は支援なしでは生活できない状況でした。今は100%に近い人たちが支援なしで命をつなぐことが不可能な状態です。特に、ガザの人口の47%を占める子どもたちの死が目の前に迫っていることは想像に難くありません。今ガザで発生している飢饉ともいえる状況は、干ばつなどの天災ではなく、人為的なものであり、完全に防ぐことができるものです。イスラエルによるラファの地上侵攻が本格的に始まれば、人道支援を継続することは不可能になります。この現状に対して何もしないということは、国際法の理念や法の支配による国際秩序を諦め、ガザの人びとを見捨てることに他なりません。
私たちはパレスチナに関わる団体として、ガザ全土で予想される飢餓の回避と、一刻も早い「恒久的停戦」のために、イスラエル政府を含む関係者に対して具体的な外交努力をさらに行うことを強く要請します。
2024年 5 月 8 日
特定非営利活動法人国境なき子どもたち
特定非営利活動法人日本国際ボランティアセンター
特定非営利活動法人パルシック
特定非営利活動法人パレスチナ子どものキャンペーン
特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン
中東研究者有志アピール呼びかけ人
◆特定非営利活動法人日本国際ボランティアセンター(JVC)
担当:小林麗子
電話:03-3834-2388
メール: r-kobayashi@ngo-jvc.net
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