イスラエルとの防衛協力を継続・強化する方針を転換してください
JVCは9月15日付で、8月30日に日本とイスラエルとの間で署名された「日本国防衛省とイスラエル国防省との間の防衛交流に関する覚書」について、防衛協力を継続・強化する方針の転換を求める要請文を外務省・防衛省に提出しました。
パレスチナの占領を続け軍事攻撃も行ってきたイスラエルとの防衛協力を強化することは、「イスラエルによるパレスチナの占領が国際法違反である」とする日本の立場とは相容れないものです。
要請文では、日本はイスラエルとの防衛協力を継続・強化する方針を転換し、イスラエルによるパレスチナへの攻撃を制止する外交的な努力を行うことを日本政府、外務省、防衛省に求めています。
2022年9月15日
外務大臣 林芳正 殿
防衛大臣 浜田靖一 殿
8月30日、訪日中のガンツ・イスラエル副首相兼国防大臣と浜田防衛大臣が防衛相会談を行 い、改定した「日本国防衛省とイスラエル国防省との間の防衛交流に関する覚書」に署名しま した。両大臣は、両国間の防衛協力を引き続き強化することで一致したとされています。
私たちはパレスチナで人道・地域開発支援を行うNGOとして、また戦争や紛争のない世界を 目指す市民団体として、この防衛協力について以下の通り要請します。
1948年にパレスチナの地にイスラエルが建国を宣言した際、75万人ともいわれるパレスチナ 人が難民となりました。その人々が自分たちの土地に帰還することを許さないまま、イスラエ ルは国際法違反であるパレスチナの占領を55年にわたって続け、入植地の拡大、パレスチナ人 家屋の破壊、不当逮捕や拘束などの人権侵害を繰り返してきました。そして、ガザ地区に対し ては、2007年から陸海空を完全に封鎖した状態で、空爆や地上部隊による攻撃などの軍事侵攻 を大規模なものだけで4回にわたって行ってきました。
このような軍事侵攻について、イスラエル政府は常に、パレスチナ武装勢力からの攻撃に対 する「防衛」であると主張してきました。しかし、イスラエルとパレスチナ間の緊張関係を生 み出したのはまぎれもなくイスラエルによる占領であり、 軍事力において圧倒的優位にあるイスラエルの攻撃は、常にパレスチナ に甚大な被害をもたらしてきました。犠牲者数はガザ地区だけで3,000人以上[1]にのぼります。
浜田防衛大臣が防衛相会談において「力を背景とした一方的な現状変更の試みや緊張を高めるいかなる行為にも強く反対するとの意思を表明」したことに照らせば、イスラエルが武力を背景に占領を続け入植地を拡大していることを容認できないはずです。
もとより日本は「イスラエルによるパレスチナの占領が国際法違反である」ことを公式に認めており、イスラエル国防軍との協力関係の構築と強化は、その立場と相容れるものではありません。さらに、占領や人権抑圧のために用いられてきた軍事技術(防空システム、サイバー等)を自衛隊が導入する可能性にもつながることを危惧します。日本はイスラエルとの防衛協力を継続・強化する方針を転換すべきであり、イスラエルによるパレスチナへの攻撃を制止する外交的な努力を日本政府、外務省、防衛省に求めます。
2022年9月15日
特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター(JVC)
代表理事 今井 高樹
特定非営利活動法人日本国際ボランティアセンター(JVC)
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今井、並木
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