AIDA声明「ノー・ディール(合意できない、不賛同):AIDAは国際社会に米国の和平案を拒否し、説明責任を要求する」
まだまだ寒い日が続くエルサレムですが、最近は雨の日が少なく、昼間に明るい日差しが入ってくるようになりました。しかし政治状況は明るい兆しが見えません。パレスチナでは米トランプ政権が1月28日に発表した中東和平案への抗議が続いており、それに伴う悲劇も起こっています。
2月6日だけを見ても、ジェニンでは19歳のパレスチナ人が双方の衝突の結果、イスラエル兵に殺され、パレスチナ警察を含む7人が負傷しました。エルサレムでは同じく深夜に、レストランや店が多く立ち並ぶ人々に人気のスポットで、パレスチナ人の運転する車での攻撃があり、12人の兵士が負傷しています。そのうち20歳の青年1名が意識不明の重体となりました。
米トランプ政権の和平案は、下記のように国際社会からも非難を浴びています。
この混乱の中で、JVCもメンバーの一員であるAIDA(国際開発機関協会:占領下のパレスチナで活動する70以上の国際NGOの調整機関)は、下記の声明を発表しました。下記に全文を紹介させていただきます。
2020年1月29日
緊急リリース
パレスチナ自治区及びイスラエルで活動する84の国際NGOの連盟であるAIDAは、アメリカ政権のプランを拒否するよう国際社会に訴え、正当で持続的な和平合意の基礎として国際法に準ずる姿勢を改めて明確にする。アメリカの提案はパレスチナ人の基本的権利を否定し、持続的平和の見通しを危うくするものである。またイスラエルは、今回のアメリカのプランが承認しているあらゆる形態での入植活動とパレスチナ地区の実質的併合を直ちに止めなければならない。
国際法は国際社会にイスラエルの国際的な悪質行為を承認、援助、助長しないことを要求しており、アメリカがイスラエルによるパレスチナ地区の一方的な占領と併合を承認することは、この国際法を無効化しかねない恐れがある。西岸地区の併合はパレスチナ人家族やコミュニティが強制移住を迫られる可能性を更に高め、貧困を悪化させ、必要な人道支援の供給を妨げるものである。また、アメリカのプランに含まれる併合案は、イスラエル(の政策)が国際人道法の"占領"にあたるとする問責を反故にするだけでなく、パレスチナ人が継続的な差別と依存を乗り越えるための自己決定権の保有を否定することを意味する。
占領下のパレスチナ地区で活動する者として、AIDAの連盟団体は既に、東エルサレムを含む西岸地区全域での入植地の拡張と実質的併合が当該状況に与える悪影響を目撃している。イスラエルの占領下では、西岸地区とガザのパレスチナ人たちは移動の自由や生活必需品の入手、医療や水、衛生、燃料、食の安全性、雇用、経済成長などの基本的サービスへのアクセスを奪われている。また、エスカレートしているイスラエル兵や入植者による暴力は、パレスチナの子どもたちが安心して良質な教育を受けられる基本的な権利を脅かしている。既に昨年、東エルサレムと西岸地区のエリアCでの入植地の拡張によって、多数のパレスチナ人が自分たちの家から去ることを余儀なくされたことが報告されている。アメリカのプランが実行されれば、これらの状況はさらに悪化すると考えられる。
アメリカの(和平)案は東エルサレムを含む西岸地区とガザ地区から成るパレスチナ領土の更なる分断を招き、真の主権国家と自治の達成をより一層困難にする。パレスチナ国家の実現と数百万のパレスチナ難民の永続的な解決は、(国際法の)原則に準じた和平案によって達成されるものである。
現実的で正当な真の和平案は、国際法と持続的な平等思想に準じ、パレスチナとイスラエルの双方に自己決定権を保障するものでなければならず、アメリカの"世紀の交渉"はこれらの最低限の原則を欠いている。我々はイスラエルとパレスチナ双方のリーダーに、協働して正当で持続的な和平案を設計することを求める。
我々は、EUとその構成国を含む国際社会に、以下のことを要求する。
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