REPORT

国際司法裁判所(ICJ)の勧告的意見と、AIDA共同声明「国際社会に対し、占領地ヨルダン川西岸地区の脆弱なコミュニティを保護するための行動を求める」について

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パレスチナのヨルダン川西岸地区におけるイスラエル人入植者による攻撃は増加の一途をたどっており、2023年10月7日以降、1,000件にまでのぼっています。

7月19日、国際司法裁判所(ICJ)は、1967年の第3次中東戦争以降、ヨルダン側西岸地区などでイスラエルが続ける占領政策が事実上の併合であり、国際法に違反し、イスラエルには入植地の撤去や入植活動を停止する義務がある、とする勧告的意見を出しました。これは、イスラエルの占領によるパレスチナ人の人権や自決権の侵害について、国際法に照らした見解をICJに求めた国連総会の決議(2022年12月)を受けたもので、イスラエルによる入植や占領が違法状態であると断じています。

ICJは、各国や国際機関が違法な占領から生じる状況を合法と認めない義務、占領によって生み出された状況を維持するための支援をしない義務を負う、としています。JVCは日本を含む国際社会がこの勧告的意見を真摯に受け止め、行動することを強く求めます。

また、パレスチナで活動する国際NGOの連合体AIDAは、ヨルダン側西岸地区での暴力や攻撃の激化を受けて、国際社会に対してパレスチナ人コミュニティを保護し、入植者による暴力と違法な入植地拡大の責任を追及するよう求める声明を発表しました(2024年6月25日付)。JVCもこの声明に賛同します。AIDAによる声明文の要旨及び原文は以下の通りです。

【AIDA声明文による要請事項の要旨】

・国際社会は、個々の入植者にとどまらず、暴力を助長しパレスチナ市民や民間インフラへの攻撃に加担する特定組織や国家機関に対する新たな制限措置をとるべきである。これには、入植者の暴力や入植者の拡大を支援・可能にする入植者NGOや組織に対する第三国からの資金提供を直ちに停止することも含まれる。

・イスラエル政府は、軍をはじめとする国家当局が入植者の暴力を容認し、助長し、時には加担しているという度重なる証拠に基づく疑惑に対して、説明責任を果たすべきである。多くの措置やメカニズムが利用可能であり、例えば、欧州連合(EU)は、EUとイスラエル間の自由貿易協定に含まれる必須事項である人権条項の再調査の一部として、これらの措置を真剣に検討すべきである。

・国際社会は、占領地のイスラエル軍指揮官から文民政府への立法・行政権の移譲がもたらす法的影響を十分に見極め、占領地の獲得を絶対的に禁止する国際法を守るために、それに従って行動すべきである。東エルサレムを含むパレスチナ占領地におけるイスラエルの政策と慣行から生じる法的帰結に関しては、国際司法裁判所の今後の見解が決定的な答えとなるはずである。パレスチナ人の基本的権利が積極的に保護されるよう、国際社会のすべてのメンバーがこの意見書の内容に基づいて行動することが極めて重要になる。

・国際社会はまた、入植地と前哨基地の撤去を要求し、C地区(ヨルダン川西岸で唯一(土地の)連続性のある、イスラエルが完全に支配している地域)でイスラエル政府が押し付けている既存の差別的な計画を、権利に基づくパレスチナ人主導の自律的な建設プロセスに置き換えることを支持しなければならない。

・国際社会は、入植者による暴力と強制移住によるパレスチナ人被害者に代わって、被害を受けたコミュニティーの家や財産の返還、被害を受けたインフラの復旧、損失と損害に対する金銭的補償、将来の侵害の不再発の保証など、適切な賠償を要求すべきである。

【声明文本文(英語PDF)】

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