住民主体の共有資源の管理と利用の支援
JVCは、農村部住民が身の回りの森や川を持続的に利用しつつ、行政機関や企業など、村外の様々な人々に村の自然がどれだけ大切か伝え、奪われることのないよう訴えていけるように支援しています。 例えば、コミュニティー林や魚保護地区といった自然資源保全の仕組みづくりや、村の歴史、川や森からとれるものなどのデータや地図をまとめた冊子づくりを行っています。 また、住民が持つ自然資源に対する法的権利について理解を深めるための研修や、村全体や家族内での様々な意思決定において女性も十分に参加していけるよう意識を啓発する研修も行っています。
(ゴムプランテーションと水力発電ダムの送電線)
(自然から採ってきたタケノコを下ごしらえする家族)
活動村5村において、住民とともに村の基礎情報(人口、歴史、生産物、村境など)および直面している開発問題についての情報を収集し、4村で冊子や資料としてまとめ、一部をバナーや表にして共有しました。この過程で話し合いを行い、共有資源が食糧や収入の源としての価値をもっていること、またそれらが減少しつつあることを多くの村人とともに確認しました。
また、認識を共有する中で、共有資源管理・利用の仕組みが必要とされた2村で魚保護地区を導入し、4村で農薬や化学肥料などによる環境への負荷や土壌劣化の減少・防止の活動を開始しました。
(村の基礎情報と地図のバナー配布の様子)
魚保護地区を設置した2村で、住民自ら話し合ってパトロールを強化する事例もみられ、1村では企業からの土砂採掘の事業の提案に対し、住民自ら交渉し断るという動きがみられました。共有資源管理の仕組みを導入した村では、今後も住民の手によって持続的に運用される見通しとなっています。
また、プロジェクトの中間評価を実施し、これまでに集中的に活動を実施した村では、成果が現れてきていることが確認され、個別の状況に応じた効果的な活動の手法や体制、期間などを検討しました。引き続き関連する政策や制度の改善を含め、効果的な活動の在り方を定め、実施していくことが課題となっています。
(魚保護地区の看板についての話し合いの様子)
ナンヨン村村長 カムパーさん
私たち村人にとって、セコン川は生活を支えてくれる大動脈であり、スーパーマーケットのような存在です。
しかし、今日では人口が増加し、電気ショックや火薬をりようした違法な漁業が増え、多くの水生動物が姿を消しています。2022年12月、私たちはJVCや現地行政とともに、セコン川の一部に魚保護地区を設定しました。この川を子どもたちや次の世代のために保全したいと考えたからです。
JVCと何回も話し合いを重ねた結果、月2回のパトロールを含めた保護地区の管理も安定し、現在はこの川で多くの魚を見ることができます。引き続きこの保護地区を持続的に管理していくつもりです。
(ナンヨン村村長 カムパーさん)
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