パレスチナ出張記【3】ガザ入域編(後編)
パレスチナ出張記【2】ガザ入域編(前編)の続きです。
4月20日朝、堀潤さん、パレスチナ事業担当並木、そして私は、イスラエルとガザの行き来ができる唯一の検問所、エレツ検問所に到着しました。
カメラを持ち込めるかどうかが不安な中、まずは荷物検査。
大きな銃を持ったイスラエル兵が検査担当です。
(ここからは撮影禁止でしたので、写真はありません。イメージはそのまま、飛行機に乗る際の赤外線による荷物検査で、大差はありません)
前日、並木がこの検査に引っかかり、カメラを持ち込めず入域を断念していましたので緊張の一瞬でしたが、結果は・・・全員すんなりOK(!)
並木いわく、「とにかく流動的。昨日言っていたことが今日翻ることはしょっちゅうだし、理由も提示されないので分からない」とのこと。
何はともあれ、ここでモタモタして「やっぱりそのカメラNG」と言われてはいけないので、ここはありがたく早足で通過します。
もちろん、心の中は、「これで記録ができる、良かった・・・」という安堵でいっぱいです。まずは第一関門突破というところでしょうか。
荷物検査が終わったら、続けて口頭での検問です。
これも空港と同じようなイメージで、1人1人係員のチェックを受けます。
提出するのは、パスポートと入域許可証(イスラエル政府とパレスチナ自治政府に1ヵ月以上前に申請)、受ける質問は人によって様々ですが、私は「何のためか?」「何回目か?」「中で何をするのか?」「父の名前(申請時に家族の名前を提出しています)」でした。
ここも全員、無事通過。イスラエルによる検問は以上です。
鉄の回転扉を通って(堀さんの動画では2:32頃のシーン)、金網に四方を囲まれた通路を通過し、次の検問に向かいます。
(金網に四方を囲まれた通路。次の検問に向かう道です)
イスラエルの検問を越えても、検問は続きます。
今度はパレスチナ自治政府「ファタハ」の検問。パスポートや許可証を提出し、ここはスムーズに通過しました。
そして最後は、同じくパレスチナ側「ハマス」の検問です。
前回の記事に詳細を書きましたが、パレスチナは自治政府を担う「ファタハ」とガザの実質政府「ハマス」でもめているため、検問所も2つに分かれていました。
まとめると、入域までは以下の手順となりました。
【1】イスラエル政府による荷物検査
【2】イスラエル政府による検問
【3】パレスチナ自治政府「ファタハ」による検問
【4】ガザ実質政府「ハマス」による検問
事前準備として1カ月以上前からパスポートや経歴書、家族の名前や入域理由などを両政府に提出し、それぞれから許可を得ていますが、その上で更に4回の検問を経ての入域となりました。
エレツ検問所に到着してからここまで、約2時間が経過していました。
私にとっては初めてのガザ地区。
「高さ8mの壁の向こう側」にようやく到着です。
気温は日本の初夏くらいでしょうか。湿度はなくカラっとしています。これまでいた「イスラエル側」と何も変わりません。
壁一枚あるだけで陸続きですから、当たり前ですね。
上空では鳥も自由に壁を越えて行き来しています。「人間は何をやってるんだろう」と悲しくなりました。
(パレスチナ側の検問所を出たところ)
私たちは、行き来ができるだけ、まだいいでしょう。
中に住む人々は、基本的に外に出ることができないのです。人命の関わるような緊急時においても、この出入域に関するルールは変わりません。
この現実を一体どう考えればいいのでしょうか。こんなことがあってはならないと、何度考えてもやりきれない思いです。
次回からは、ガザ地区の内部とそこに暮らす人々の声をお届けします。
<パレスチナ出張記【4】ガザで生きる人から託された手紙 につづく>
(2023年10月10日追記)
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