パレスチナ出張記【7】停電中に差し出された冷たいジュース
パレスチナ出張記【6】占領下の「強さ」に甘えてはいけない の続きです。
シュジャイヤでの母子保健の活動に参加した女性たちの話を聞いた翌日、彼女たちが実際に家庭訪問をして周っていたビルナージャという地域を訪れ、私たちもいくつかの家を訪問させていただくことができました。
1軒目は、下は2カ月、上は11歳の計6人のお子さんがいるNさんのお宅です。
コンクリートの床はひんやりとしていて、冬は底冷えがするそう。 床に絨毯やゴザを敷いてしのいでいるとのことでした。
このお宅のお母さんはAEIとJVCが実施する研修に参加していて、「母親としてのAtoZ(すべて)」を教わった気がする、とのコメントをくれました。
また、「子どもが私たちの未来」「子どもの人生が一番大切」と、何度も強調していたのが印象的です。
(どこからともなく集まってくるカワイイ子どもたち)
(とにかく元気!)
2軒目は、AEIで働くスタッフの家でした。
ガザはイスラエルに電力をコントロールされており、1日2時間程度しか電気がないことは前回の記事で触れたとおりですが、この家もまさに停電している中での訪問でした。
中で話を聞いていると、この家の男の子が、小さな手でグラスに入ったジュースを手渡してくれました。
このジュースが冷えていることに、私たちは驚きました。
聞いてみると、発電機のあるお店で、冷えたジュースをわざわざ買ってきてくれたとのこと。
言葉がありません。
電気がないのに、生活も厳しいのに、どうしてこんなに優しい気持ちを私たちに与えてくれるのでしょうか。
「アラブ文化は客人をもてなすんだよ」と笑う皆さん。
封鎖下で暮らす中、電気がないのに冷たい飲み物を出してくれるということ。
信じられない理不尽さの中にあっても、周囲にこんなに優しく接することができること。
ガザ滞在中、何度も言葉を失うことがありました。
どうしてこの人たちがこんなに苦しまなくてはならないんだろう?同じ時代に生きる自分たちが、この問題に真剣に向き合わなければならないのではないか?
そんな気持ちがどんどん膨れ上がっていきます。
子どもたちにこのような理不尽な状況を残したくありません。
一刻も早くこの占領・封鎖をなくすためには、もっともっと壁の外にいる私たち国際社会からの働きかけが必要でしょう。
現状を知り、このおかしな状況に疑問を持ち、そして声をあげる人を増やすことが、今、私にすぐにできることの一つです。
現状を自分の目で見るほど、話を聞けば聞くほど、文字で読むよりも厳しすぎるこの状況に、何とかしなきゃ、という焦りが生まれます。
この出張記を読んでくださっている皆様、ありがとうございます。何か感じることがあれば是非一緒に、この不条理にともに声をあげていきましょう。
自分にできることの小ささに、無力感に押しつぶされそうになりますが、今回の出張は頼もしいプロ、ジャーナリストの堀潤さんと一緒です。
ともに発信し、少しでもこの状況を変えていくうねりを作り出したいと思います。
(今回は13:07~最後までのお話でした。 ぜひ映像も合わせてご覧ください)
<パレスチナ出張記【8】につづく>
(2023年10月10日追記)
JVCは2023年10月の情勢を受け、パレスチナ・ガザ緊急支援を開始します。
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