【南アフリカ出張記③】2018年度以降の活動に向けて
前回の出張記②の続きです。
JVC南アフリカでは、2018年度以降、今の事業地で行っている活動の経験・成果を周辺地域に広げて行きたいと考え、さまざまな準備を進めています。そのうちのひとつが、これまでの経験上、初めて活動を行う地域で必ず起きると想定される困難について、周囲の人たちに「どう乗り越えてきた?」などの話を聞いてアドバイスをもらい、今後の調査・立案の計画に活かしていくことです。
昨日、現在のJVCの活動地で、子どもケアセンターのボランティアさんと青少年たちを対象に様々な研修を行ってきてくれたケト(Ketho)さんにお話をうかがいました。
ケトさんは自らが早くに両親を亡くした孤児として育ち、子どもの頃に、自分やJVCが青少年に提供しているような研修を受けて感動し、それを「若者」として周囲の友人など自分と同じ若者に広げていった経験の持ち主です。そこから勉強も頑張り、奨学金をもらって大学に行き、今は自分と同じように、困難な状況下でもあきらめずに自らの力で道を切り開く若者を少しでも増やしたいということで、青少年との活動を行っています。
JVC活動地の青少年たちと普段の暮らしのなかで抱える悩みや思いを話し合うケトさん。子どもたちは、若くて同じ経験をしてきた「自分の良い理解者」であるケトさんのことが大好きです。
JVCがそんな彼にした質問は「例えば、JVCが今の活動を広げようと考えているとして、周辺の村の子どもケアセンターのボランティアらに今の活動の経験や成果を伝えた場合、ほとんどのセンターは、まずJVCが"研修"や"スキル"ではなく、お金やモノをもってきてくれることを期待する。ケトさんは、どうやって新しい地域にアプローチして青少年たちとの活動を広げたのか。その成果の出し方は?持続性や周辺への波及をどのように行ってきたのか」というものでした。
「お金やモノを持ってきてくれることを期待する」という人びとの反応は、南アフリカにかぎらず、また今回にかぎらず、JVCのような「よそ者」が来た時の反応としてはごく当たり前のことであり、私もその人たちと同じ立場だったらそう言うだろうなと理解のできるものです。
だからこそ、JVCが新しい活動を始める時にはどこでもいつでも抱える悩みでもあります(そこをお互いのコミュニケーションや実践を通じていかに乗り越えられるか、その結果として人びとの変化を見られることが、活動の醍醐味であり、面白さであり、楽しさでもあるのですが。そしてこの過程を通じてこちらが相手から教えられることもたくさんあり、いつも発見です。ありがたい経験です)。
これに対し、ケトさんは自分が研修を通じて「NGOによる支援」を受けた側の視点から、そしてそこから自分が伝え、広げる側になってからの経験を交えて、とても詳しくわかりやすく話してくれました。そして、実は20年以上南アフリカで活動しているにもかかわらず、彼の視点やアドバイスは、我々JVCスタッフにとって目から鱗が落ちそうなものばかり・・。28歳なのにとても経験豊富でしっかりしているケトさんに、彼より年上ばかりのJVCスタッフは多くを学ばせてもらいました。
ケトさんのアドバイスがどんなものだったのか・・・実際にJVC南アフリカの新しい活動が始まっていない今、ここで詳しく述べることはできないのですが、今後の活動に必ず活かし、活動が始まったあかつきには、その報告を通じて皆さまにお伝えしていければと思います。
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