REPORT

スーダン

スーダンに吹いた新しい風

アッサラームアライクム!スーダン駐在員の今中です。
今、スーダンは劇的な変化を迎えています。最新情勢を現地からお伝えします。まず、今までの情勢はこちらをご参照ください。

8月にエチオピアとアフリカ連合(AU)の仲介により憲法宣言が署名され、スーダンは民主化への道を歩み始めました。


8月17日署名式当日に、歓喜の声をあげる市民)

文民6名、軍人5名から構成される暫定統治機構が発足し、首相には、国際機関での経験が豊富で、昨年まで国連アフリカ経済委員会の副事務総長を務めていたアブドゥッラー・ハムドゥーク氏が就任し、経済の立て直しに期待がかかっています。

通常新しい人物がトップに立つと、必ずどこかから批判は出るものですが、街の声を聞くと「彼は世界の経済界でトップ7に入る人物だ」「今までの政権は腐っていたが、今は期待しかないんだ」「皆、彼を支持しているよ。これからスーダンはよくなっていくよ」など、タクシー運転手、国連職員、売店の店員と老若男女問わず確かな期待を寄せています。また、外務大臣、教育大臣などに4人の女性大臣が登用され、新しい風が吹いています。


ニューヨークにて国連総会に参加したハムドゥーク首相(左)とアスマー外務大臣(右)。ハムドゥーク首相はJVC の活動地である南コルドファン州出身で経済の専門家でもある)

更に特筆すべきは、首相が南コルドファン州のほか、青ナイル州、ダルフールで今なお続いている紛争を終結することを優先課題として挙げたことです。早速9月には、南スーダンのキール大統領の仲介により、同国首都ジュバで、スーダン暫定政権と反政府組織の一部が、和平に向けたロードマップに署名しました。署名者には、南コルドファン州の紛争当事者である反政府組織(SPLM-N)も含まれます。和平交渉は2ヶ月間の予定で、順調にいけば、今年中に和平合意が締結されることとなります。

外交面においても前政権とは大きく方向転換し、欧米諸国やアフリカ諸国との会談を積極的に行い、関係改善を図るほか、アメリカが指定するテロ支援国家からの解除を目指しています。このリストから外れると、輸出入の制限が緩和され、経済発展に繋がると人々は期待を寄せています。

SNSでも、クレジットカードが使用できるようになる、大手外食チェーンがオープンする、など様々なポジティブな噂が飛び交っています。また政府の政策を批判する記事が新聞に載るなど、今までには見られなかった変化もひしひしと感じ取れます。

一方で、デモの発端となったパン不足・燃料不足などの問題は今も続いており、街中でも長蛇の列を見かけます。JVCの活動地であるカドグリでも、人々の生活状況が目に見えて変化しているというわけでもありません。
引き続き情勢を注視しつつ、目の前に迫った和平合意に向け、分断された人々が共生し、自分たちの手で生活を再建できるよう、活動を続けていきます。

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