COVID-19による生活の変化と人々の声 -スーダンの活動地カドグリ-
前回の記事では、主にCOVID-19影響下における首都ハルツームの様子をお伝えしましたが、本記事ではJVCの活動地である南コルドファン州カドグリの状況をお伝えします。
カドグリを州都とする南コルドファン州では、5月6日現在、COVID-19の感染者は確認されていません。しかしスーダン政府からは周縁の地として扱われ、発展・開発から取り残された地域であり、長い間紛争の影響を受けてきました。その為ハルツームと比較しても医療の水準は低く、手洗いに必要となる「水」へのアクセスも十分とは言えず、COVID-19に対して敏感になっている人も多いです。
元々カドグリでは多くの物資をハルツームからの輸送に依存しています。例えば新聞でさえ、毎日ハルツームから運搬されるので、カドグリの売店に新聞が並び始めるのは夕方になってからです。そのため、給与は相対的に低いものの、物価はハルツームより10%程高いのです。それに加え、外貨不足によりスーダンポンドの通貨価値が暴落し、スーダン全体でも2月のインフレ率は71.3%(スーダン中央統計局発表)を記録しており、COVID-19の影響を受ける前から、厳しい生活を強いられています。
(カドグリのマーケットの様子)
スーダン政府がCOVID-19の拡大を抑えるために、州を越える移動の制限を強化した現在、物資不足・物価高騰に大きく悩まされています。人々からは以下のような叫びが聞こえてきます。
「値上がりが凄くて肉と野菜をここ2週間食べてない」
「果物はカドグリ近郊で生産されるマンゴーしかない」
「薬がないから治療のためにハルツームに行かないといけない」
「マスクも高すぎて、お金を持っている人しか買えないわ」
こうした状況の中、まずはJVCスタッフが正しい知識を身に付けるために、内部で勉強会を実施しました。症状、予防といった基本的な情報から、コミュニティを訪問する上での注意事項(6人以上の集会禁止、1.5mの距離を保つ)等も共有してくれました。
(JVCカドグリ事務所のサラが保健省からの情報をもとに、他のスタッフにレクチャー)
また、COVID-19を予防する上で「手洗い」は欠かせませんが、カドグリでは水道がある家はほぼなく(JVC事務所もありません)、JVCが支援している住民は、近くの井戸から水を汲んでくる必要があります。そこで各コミュニティの水管理委員会に連絡を取り、井戸(ハンドポンプ)の状況、故障している井戸の数、いつから故障しているか、などの聞き取りを行いました。問題が深刻なコミュニティに関しては実際に訪問し、今後どうしていくかを住民と話し合っていきます。
(約5年前にJVCが支援したカドグリ・ティロウ地区でのウォーターヤードは住民から成る水管理委員会が運営をしている)
JVCは、今年1月から、代替教育(ALP, Alternative Learning Programme)支援として、紛争の影響により教育の機会を失った子どもたち向けの補修教室を運営しています。しかし、政府が全国の大学・学校の休校を発表したために、3月半ばより活動は休止しています。パソコンやインターネット環境はないので、オンライン学習などは困難ですが、それでも保健省や関係機関と調整し、子どもたちが勉強を続けられる方法を検討しているところです。
(補習学級でアラビア語を学ぶ子どもたち(今年2月))
スーダンの人と話すと、必ず「日本はコロナ大丈夫か?」「お前の家族は感染してないか?」と心配の声をかけてくれます。JVCスタッフのアフマドは「今、世界中でコロナの影響を受けて大変だけど、協力して乗り越えましょう。カドグリでは水・教育のサポートが必要です。日本の皆さんも気を付けて過ごしてください。」とメッセージをくれました。一致団結して、この難局に立ち向かっていくためにも、引き続き温かいご支援宜しくお願いいたします。
(COVID-19の啓発ポスターを事務所の壁に貼り、手作りのマスクを着用するJVCカドグリ事務所スタッフ。アフマドは写真右上)
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