武力衝突とCOVID-19による「教育の空白」を埋める!
3月、スーダン教育省は、COVID-19の感染拡大を防ぐ対策として、全国の学校の休校を決定しました。JVCが活動する南コルドファン州の就学率は低く、避難民を中心に多くの児童が正規の学校に通っていないため、今年1月から、学校に通っていない子ども達が一定の学力をつけて正規の学校に編入することを目指し、補習学級を開始していました。しかし、学校の休校を受けて、補修学級も3月中旬から休止せざるを得ませんでした。
その間、テレビやインターネットへのアクセスがなく遠隔教育が難しい避難民を対象に、どういった手段で教育の機会を提供することができるのか試行錯誤していました。州保健省がCOVID-19の啓発活動以外でのコミュニティへの立ち入りを許可しなかったため、啓発活動と一緒に宿題を配布する、コミュニティ内の先生が対面で教える、など様々な案を検討している中、以前報告した通り、JVCの活動地域にて集落への武力攻撃が発生して、子どもを含む多くの住民が避難を余儀なくされたのです。
徐々に政府のCOVID-19対策が緩和されていき、9月にようやく州保健省・教育省から活動許可が下りました。補習学級を本格的に再開する前に、約6か月の間勉強から遠ざかっていた子どもたちが学習の再開に適応するために、アラビア語・算数の復習とレクリエーション(スポーツ・お絵描き)の場を提供することにしました。武力衝突によりカドグリ近郊の村から避難してきた母親は、「私たちの子どもたちも今まで教育を受けてこなかったけど、JVCのクラスに参加させてほしい」との要望が殺到し、受け入れることを決定しました。
(算数の復習をするムダッシル先生と子どもたち)
アラビア語のアルファベットの復習をする子どもたち
雨季が始まったので、農作業の手伝いをする子、家畜の世話をする子、また仕事にいった親の代わりに幼い弟や妹の世話をしなければいけない子など、勉強から遠ざかっていた子どもたちもいましたが、コミュニティの協力もあり沢山の子どもたちが久しぶりに勉強することができました。
5月の武力衝突の現場を目の当たりにした少女、リハーブちゃんが当時のことを語りました。
「砲撃と銃声を聞いて、すぐに逃げたけど、おじいちゃんが死んでるのを見た。埋葬した後に山に逃げて、大きな木を見つけたから、その下で寝ることにした。その後学校に4日間避難したあとに、親戚の家に住み始めた。私たちの家は完全に破壊されてしまったの。」
このような心の傷を負った子どもたちのために、ソーシャルワーカーも派遣し、心理ケアや集団行動に適応できるよう支援も実施しました。
子どもたちが描いた絵について、耳を傾けるソーシャルワーカー
独創的な草花、家畜である牛、そして日常生活に溶け込んだ銃や軍の車。これらは全て、補習校に参加している子どもたちが描いた絵です。子どもたちが何を見て、何を感じているのか、以下の写真をぜひじっくりとご覧ください。
正規の学校は度重なる休校期間の延長により未だ再開していませんが、補習学級は手洗いなどの感染症対策をしつつ12月末まで実施する予定です。またご報告していきます。
執筆:スーダン現地駐在員 今中 航
世界はあなたの小さな一歩から大きく変わります。
私たちが世界をより良くする活動は、
皆さまのご寄付・ご支援に支えられています。
日本国際ボランティアセンターでは
マンスリーサポーターや物品寄付をはじめとする様々なご支援を受け付けています。
良い世界の実現のために私たちの活動を応援してください。
JVCのことをまだ知らない、あまり知らない方はまずはこちらをご覧ください。