REPORT

日本 カンボジア

プロジェクト終了にあたっての村の皆さんの声

こんにちは。カンボジアから大村です。

前回の「活動40年映像完成!」報告記事と少し内容が前後してしまい、また、ブログでのご報告が遅れてしまいましたが、JVCカンボジア事業は2021年3月末をもち、約40年の活動の歴史の幕を閉じました(代表理事からのご挨拶)。

長きにわたり応援いただいた皆様に、スタッフ一同、この場を借りて御礼申し上げます。本当にありがとうございました。

・・・とはいえ現在は閉鎖の行政手続きの途中で、私も10月現在、カンボジアに駐在しています。この数ヶ月はコロナ禍での行政対応に多くの時間を費やしており、このブログにもまだもう少し、更新したい記事が残っています。少しずつ更新していきたいと思いますので、あと少しお付き合いいただければ幸いです。

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(40年間、本当にありがとうございました!ともに最終日を迎えたメンバー)

さて今回は、2021年2月に実施した「プロジェクト評価」の際に東京から出張してきたカンボジア担当の下田が、村の皆さんに行ったインタビューを少しご紹介したいと思います。

詳しくは、後日JVCのHPで公開予定の評価報告書をご覧いただければと思いますが、2019年4月~2021年3月に実施したプロジェクトについてのインタビューです。

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(活動をともにした村の方にインタビューを実施。手前はスタッフのポク)

もともと活動対象地域ではこれまでの活動を通じて、食料確保手段や食料資源の多様化が見られ、ありがたいことにJVCの実施する農業研修に意欲的な住民も多く、研修参加者の7割以上が食品加工食用の多年生植物の栽培を開始するなど、一定の成果を得ていました。

一方で、「実践できているのは水へのアクセスが比較的容易な人たち」に限られており、水の確保が困難な村の方は、JVCの研修に参加をしても自宅での実践が始められないなどの課題が残されていました。

そこで2019年からの2年間は、各種農業研修と並行して改めて水源についての調査を実施し、ため池や井戸のサポートを行ってきました。同時に、既に家庭菜園が軌道に乗っており、外部への販売を希望している村の方に対しては、村にいながら販売を通じて現金収入を得られるきっかけづくりを行いました。

この2年間で、家庭菜園に取り組んだ世帯のすべてが「生産量があがった」と回答しました。また、研修参加前に平均約2種類だった生産品目は、約13種類にまでなりました。

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(同じ菜園BEFORE/AFTER:何もなかったスペースを、一念発起し1から菜園にした方)

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(同じ菜園BEFORE/AFTERその2:ハーブや葉物を多種類植えて、自家消費用のほか、外部への販売にも熱心に取り組んだ方)

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(外から分かりやすいよう、「オーガニック野菜販売中」の看板も立てました)

村の方の声(家庭菜園や販売について)

今回の下田の出張に際し聞けた、村の方の声をいくつか紹介したいと思います。

  • 寝て起きて食べるだけの暮らしより、今のように菜園をやって食べ物があって収入も出てきて、近所から野菜を買いに来たり、農業のやり方を尋ねにきてくれる人もいる。そういう時間をつくれているのが嬉しい。(ネム・ソーンさん)
  • 野菜が上手にできて、食べるものに困らないばかりか、販売まで出来るようになりました。そうすると、「あそこ(コット・サムさんの畑)はすごいから見に行こう」という人も現れて、尋ねてくる人がいます。近所の人たちだけでなく、村の遠くからも人が来て、私の菜園を見て驚いたり、育て方を尋ねたり、今までそういう交流はまったくありませんでした。村の中で、自分の存在が認められていると感じます。(コット・サムさん)
  • 暮らしへの不安がなくなりました。たとえば、結婚式も以前だったらお金がないときは、招待状を届けに来る人が見えたら田んぼの方に身を隠して招待状を受け取らないようにしていました。今はそうしたことをする必要がありません。あと、多くの村の住民が私のことを知るようになって、農業技術のことも尋ねてくるようになりました。とても自信がつきました。嬉しいです。(ソク・ボッパーさん)
  • 販売の売上があることで安心感が得られます。これまでタイに出稼ぎに出ている息子からの仕送りをあてにしていましたが、それでも足りない時、「(ご近所から)どうやって借りようか」と気が重かったです。今はお金を借りる心配がありませんし、タイからの仕送りに依存せずに済んでいます。(サム・コーンさん)
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(サム・コーンさん)

  • 野菜はまだ十分とは言えませんが、以前よりは増えました。千日紅の販売もすることができて、その売上で娘の制服を買いました。これまで1着しかなかったので、毎日同じものを着ていくしかありませんでした。私は読み書きができないから、子どもには教育を受けてほしいです。売上はすぐに全部を使わずに貯めています。子どもたちがこれからも学校に通えるように野菜栽培も販売も続けていきたいです。(ソク・スーさんインタビュー動画。別日に撮影させていただいたものですが、同様のことをお話してくれています)
  • 夫が果物をとろうと登った木から落下し、急死しました。数ヶ月がたち、JVCから、夫とともに参加していたドライハーブづくり研修の、販売の機会があると連絡がありました。改めて研修に参加し、つくったドライハーブが100ドルをこえる売上になりました。養鶏用のケージを買って養鶏を始めます。夫が亡くなって悲しみにくれていたけれど、自分ひとりでも収入を得ることができた。このことは忘れません。(ヘン・スウンさん
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(ヘン・スウンさん)

JVCの活動が終わっても・・・

インタビューの中では、こんな力強い声を聞くこともできました。これもすべてを紹介することができませんが、一部を紹介します。

  • JVCのプロジェクトが終わっても、菜園は体力が続く限り続けていきます。JVCはスタッフのポクが毎日来てくれて、声をかけてくれた。それがすごく嬉しかった。JVCの支援は、包丁のような存在でした。包丁を研ぎ続けていると毎日の料理も楽しいでしょう?JVCがいなくなっても続けていけるけど、切れ味が悪くなってしまうかもしれない。だから、(ポクに)プロジェクトが終わっても、私のところには来るようにしてね(笑)(シン・ミーさん)
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(二人三脚で歩んできた2人。右がシン・ミーさん)

  • ため池は私の暮らしを変えました。JVCが池を掘る支援をしてくれて、私たちにはとても大きな金額だったはずです。日本の方が支援してくれたことも聞きました。こんなに大きな支えをいただいたのだから、がんばるのは当たり前です。それくらいのことをしないといけないと思っています。JVCの研修で得たこと、特に菜園は続けていきます。それは家族のためでもありますが、もう一つはJVCが居なくなっても、ここでJVCが活動していたことの証を私が残し続けたいからです。私の周りでも菜園を始める人が増えました。それを見ていると、食べ物に困らないこの村の将来が思い浮かびます。その時に、「私たちの今があるのは、JVCがサポートをしてくれたから」ということを皆が知っているように、そのためには、私がまずは続けていかないといけないと思います。(ネム・ソーンさん)
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(インタビュー時のネム・ソーンさん(左))

2021年3月。プロジェクトは終了し、同時にJVCのカンボジアでの活動もひと区切りとなりました。私は今後も一個人として、お世話になったこの村の皆さんとつながり続けたいと思っています。せっかくまだカンボジアに駐在もしているので、半年経った今、皆さんがどうされているのかなども、また報告できたらと思います。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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大村は外部サイトでも日常生活についてのブログを更新しています。EXPAT by クーリエ・ジャポンのサイトからどうぞ!最近の更新はカンボジアのワクチン事情苦労した州越え移動いきなりロックダウン!などなど。なかなか日常もままならない日々ですが、税務署や各省庁関係者と、閉鎖に向けての各種やりとりにまい進中です。

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