ハムドゥーク首相の辞任について
昨年10月25日の拘束から約1か月後に復職したハムドゥーク首相が、1月2日、民主派勢力の支持を得られず辞任しました。
復職後、民主化勢力は、ハムドゥーク首相がクーデターを主導した主権評議会の議長で軍部のブルハン氏と新たな権限分担等に係る合意を交わしたことを批判。同勢力からの協力が得られず、組閣も出来ない状況が続いていました。
これまでに民主化を支持する民衆によるデモが続き、治安部隊によるデモ隊への発砲などで60人以上の市民が死亡しています。ハムドゥーク首相の辞任は、断続的に続くこうした行為に対する抗議とともに、政治的混乱を収拾できなかった責任を取ったものとみられます。
上記の通り11月にハムドゥーク首相がブルハン氏との合意書に署名した際には、市民から「裏切者」と揶揄されることが多かったですが、いざ辞任となると「スーダンが困難な時期に首相という役職を引き受けてくれて感謝している」「ハムドゥークが辞任するのはとても悲しい」「これでますます情勢が不安定になった」という声が街でもSNSでも見られました。
2022年に入ってからも1週間に2回程は大規模なデモが呼びかけられており、その度に治安部隊はデモ隊が集結しないよう主要な橋の封鎖、共和国宮殿や軍本部へ続く道路の閉鎖、インターネット・電話の遮断を繰り返しています。しかしデモ隊に対し催涙弾や実弾が使用され、その度に数名の死者、数百名の負傷者が発生している状況です。
大規模デモが予定されている日には省庁・学校等は休みになる他、ナイル川にかかる橋を越えて通勤・移動をしている市民は自宅待機を余儀なくされる等、市民生活にも大きな影響が出ています。一方、デモがない日には、普段と変わらない日常があり、常に混乱しているわけではありません。
国連や国際社会による外交的努力も見られますが、依然として民主化勢力と軍部の対立は溝が深く、事態が収束するまでには時間を要すると見られています。
(2019年にハムドゥークが首相に就任した際には #ハムドゥークありがとう、というハッシュタグが流行語になるなど、多くの国民がスーダンの未来に希望を抱いた)
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