活動の現場からREPORT

2023.06.19

日本

vote for by sisam FAIR TRADE（コピス吉祥寺店）訪問記

吉祥寺駅北口からほど近く。雑木林や小さな森を意味するCoppice（コピス）は、誰もが心地よく過ごせる街の止まり木のような空間。その一角にあるvote for by sisam FAIR TRADEさんを訪れました。

何やら長めの店名。これはWhat you buy is what you vote、つまり「お買いものとはどんな社会に一票を投じるかということ」という考えによるものだそうです。ただ利益が出ればいいというのではなく、ショッピングを通し、作り手から買い手、売り手、そして私たちが住む社会やひいては地球までを、思いやりに満ちた社会につなげていく、その担い手になろうという企業としてのビジョンに基づくものなのです。

JVCとのつながりは、京都発祥のフェアトレードブランド：シサム工房さんがJVCの“国際協力カレンダー”を扱ってくれたことによります。今回訪問させていただいたのは、関西を中心に展開する同社の東京最初の支店ということになります。

お店に並ぶのは、インドやネパール、バングラデシュ、タイなどのフェアトレードパートナーと共に商品開発した、衣料品やアクセサリー、コーヒーや生活雑貨など。売上のざっと9割が、こうした国からの商品によって占められているそうです。

お店では幅広い年齢層を視野に入れた、普段の生活でもオフィスでも取り入れやすい、天然素材の衣料を主力に据えているとのこと。メンズラインにも力を入れており、そのデザイン性はお客様方から高く評価されているそうです。

フェアなトレードに基づくというだけではありません。一般的なデニムは製造段階で大量の水を使うため、環境に負荷をかけていると言われますが、ここではノンウォッシュのまま商品化しています。これはこれで、使い込むうちに自分だけの風合いやあたりが出てくるそうです。自分で育てることによって、自分だけの生デニムにしていくという楽しみ方ができるという発想。

また、色褪せてしまった服を、京都の黒染めの専門店につないで染め直して使い続けてもらうなんてこともしているそうです。お店の利益にはならないそうですが、お客様にはお気に入りの服を長く愛用していただくと同時に、京都に伝わる伝統技術の継承支援にもなるというアイディア。

かと思えば、ここで買った服を持ち寄っての古着の交換会（まさにリサイクル）などもしているそうです。

こんな環境や文化面での貢献にも積極的にかかわっているお店。素敵ですね。

今回、店内を案内していただいたのは、副店長の喜多さん。喜多さんご自身、多くのNPO活動や職業経験をしてきた中で、社会への貢献が実感できるいまの仕事にとても遣り甲斐を感じているとのこと。元々服飾と接客が好きで、やってみると販売の仕事が思いのほか性に合っていることを発見されたとか。

それだけでなく、一つ一つの商品の背景をしっかり押さえてお客様につなげる業務上のプロセスや、新人スタッフの意見もどんどん聞いてくれる社風（おかげでマニュアルが次々更新されてたいへんな時もあるくらい）、社員同士が部署を越えて意見を交換できるシステムが広い視野を与えてくれることなど、シサム工房という企業の社風にもたくさんの優れた点を感じられているご様子。

これからも、もっともっと多くの人に、フェアトレードの可能性を知ってもらいたい。スタッフ一人ひとりが学びながら、楽しく店づくりをしていけたらと、抱負を語ってくれました。