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イエメン

【イエメンレポート】国内避難民の暮らし(後編)ーここにいる人たちは戦うことを選ばないー

今日は前編に引き続いて、イエメンの国内避難民(Internally Displaced Persons: IDP)(注)の方々から聞き取ったストーリーをお届けしたいと思います。

ホデイダ県ホーハ市近郊のIDP居住サイト

2018年6月に設立され、ホデイダ、タイズ出身の方が多いサイトです。

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(国連などから配給されたテントで暮らす人が多い)

同じ村から避難した避難民の人たち

IDP居住サイトに到着した私たちを囲むように、人々が集まってくれました。

話をしてくださった方々の職業などは、以下の通りです。

・マウワズ(巻きスカート)製作/教員

・政府職員/働いていない

・漁師

・漁師(大学で教育学部出身)/教員

・大学生だった/教員

・(女性)ボランティア教員/教員

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自己紹介をしてくれた後、人々が口々に話し始めます。みんな同じ村から移ってきたということで、元いた村は紅海に面し、漁業に従事する村人が多かったそう。

兵士にはなりたくないし、ここにいる人たちは戦うことを選ばない。

"ホデイダ県のドレイミー出身です。

約6年前に避難してきました。最初はホデイダ、次にタイフと転々とサイトを変えて避難し、今のこのサイトにたどり着きました。アンサール・アッラー(フーシー派)が支配地域を拡大してきて、その度に逃げて転々としてきたのです。村中、フーシー派が埋めた地雷だらけになってしまいました。

ある時フーシー派がモスクに来て、この人とこの人とこの人は兵士として徴兵する、と名前を読み上げられたこともありました。それを聞いて逃げ出すことにしたのです。兵士にはなりたくないし、ここにいる人たちは戦うことを選びません。

中にはフーシー派の兵士になる人もいましたよ。でも2%くらいでしょう。地雷で死んでしまった人もいます。フーシー派のドローンで撃たれて飛ばされて骨折した老人もいます。彼は今も、松葉杖をついています。

今いるホーハのIDP居住サイトは安全です。けれど食料を確保するのが問題です。支援も途切れています。ただ支援に頼るのではなく、職業訓練などがあれば参加したいです。みんな何でもやるつもりです。今はサイト内の学校の教員をみんなでやっています。

船も船を動かすエンジンもないので、元漁師も漁には出れないのです。この沿岸は年に6か月、今のように強風の季節になります。その時は南部に移動して漁をしている人が多かった地域です。だから漁を続けることはできません。

全て今はフーシー支配地域に残してきてしまったから。

息子のヤーシルは12歳で小学校3年生です。故郷では小学校2年生でしたが転々と避難しているうちに、通学することができなくなり、3年間勉強をストップせざるを得ませんでした。今やっと3年生になりました。

子どもたちには、戦争の心理的な影響がありました。夜急に叫びだす子もいました。この子を見てください。今10歳なのに、小さすぎるでしょう。栄養が足りていないのです。

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ジャマルさん(前列左から二人目)と息子のヤーシル君 (12歳)(一番右)

"何より多くの避難民が以前いた村に戻れなくなっている今、家族の生活の先行きは不透明なままです。誰もが、ただ日々援助物資を待つ生活が良いとは思っていません……。"

避難生活が長引く中、日々水汲みをして生きる少女。戦闘下、何度も避難を余儀なくされ不安定な生活が続く中で、子どもたちを心配し教育を続けようと力を合わせて頑張る大人たち。

同じサイトでも、家族によって学校に行っていたり、いなかったり。特に子どもが遊べるような施設も備品もないところで、1日を過ごす子どもがいることもわかりました。また、学校に行っていても、家族の収入がなく、援助物資も限られる状態です。

大人たちの心配の元となる子どもの将来。子どもたちのこの大切な時間を、無駄にしない支援が今、必要とされていると感じます。

*注 難民・国内避難民

暴力、迫害、戦争、自然災害、人災のために逃亡、住居や住んでいるところを離れることを余儀なくされた人々です。

「難民」とは国境を越えて他国に逃れなければならなかった人々のことをいいます。「国内避難民」とは国境を越えていないことから、自国の市民などと同等にすべての権利と保障を受ける権利を有しており、国際条約で難民として保護されない人々のことです。国家が強制移住を防止し、国内避難民を保護する第一の責任を持ちます。しかし、難民と国内避難民の苦境は同質であることが多いので、共通の支援対策を執ることが最も現実的であることも多いのです。

出典:https://www.unhcr.org/about-unhcr/who-we-protect/inter

*今年度のプロジェクトは、今回ご紹介した国内避難民キャンプとは異なるIDP居住サイトを対象にしています。

このレポートは、2023年9月~10月に実施したクラウドファンディング「世界最悪の人道危機下のイエメンで「子ども広場」をつくりたい!」の新着レポートにも掲載しております。

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