【イエメンレポート】人々の苦しみを伝えるメッセンジャーとして:現地パートナー団体スタッフからのメッセージ
今回は、JVCがイエメン事業を実施する上でのパートナーである現地NGOのNMO(Nahda Makers Organizaion)をご紹介します!
プロジェクトマネージャーのヤーシルさんと、ドナー・リレーションズ・マネージャーのバドルさんからメッセージが届きました。
NMOモカ事務所のスタッフ等と
イエメンでは8年間も戦争が続いています。
戦争によって国が荒廃し、住民は多大な被害を受け、多くの人が避難を余儀なくされました。
そうした中、私たちは国内避難民が尊厳ある生活を送れる明るい未来を目指しています。そのためには国外の人々の援助や国際社会からの支援が不可欠です。
現在、JVCとのパートナーシップによるこのプロジェクトでは、出生登録書と身分証明書の発行を支援することで、国内避難民が人間らしい暮らしを送るためのサポートをしています。
出生登録書や身分証明書は、個人の権利を守り、医療、教育、人道支援など、生活に不可欠なサービスへのアクセスを確保する上で非常に重要です。これにより、避難民のアイデンティティや安心感の回復につながることも期待されます。
さらにこのプロジェクトでは、国内避難民のコミュニティ内に「子ども広場(子どもにやさしい空間)」を設置し、子どもたちに安全な遊びや学びの場を提供してます。子ども達が教育やレクリエーション活動を通じて子供心を取り戻し、明るい未来への希望を持つことにつながります。
クラウドファンディングによって完成した「子ども広場」
このプロジェクトでは、子どもたちが学び、遊び成長できる安心・安全な環境を提供することを目指しています。
身分証明書・出生登録書の発行は、国内避難民や子どもたちの権利を守り、彼らの法的身分を確立し、教育などの行政サービスへのアクセスを容易にします。子どもたちは学び、自らの可能性を伸ばす権利を手にするのです。
また、プロジェクトの目的は心理社会的支援でもあります。活動を通じて、国内避難民や子どもたちが精神的なサポートを受け、回復力を養うことができると信じています。
そのために、スタッフやコミュニティからのボランティアの研修にも力を入れています。ボランティアが育成されると、将来のコミュニティの基盤を確立することにもつながります。
それは、より良い未来への希望でもあるのです。
バドルさん(写真左)とヤーシルさん(写真右)
この仕事をしていてよかったと思うことのひとつは、自分の視野を広げてくれること、そして異文化の人たちとどう接すればいいか、考えさせられることです。
同じ言語を話すとは限らない様々な国の支援者と話すことも、私自身のコミュニケーション・スキルを高めてくれます。
そして、私の仕事で興味深いことのひとつは、自分が国の人々の苦しみを伝えるメッセンジャーであることです。尊厳のない生活を送っているイエメンの人々が直面している問題を伝えることで、問題解決するためのプロジェクトを実施したりすることができます。
私はこのプロセスの一員であることを誇りに思います。
私は2018年からNMOで働いています。この仕事の好きなところは、学んだり挑戦する機会を提供してくれることです。
何年もの間、私はどのように人々の役に立てるか考え、人道支援に関する情報を集めるなどしてきました。このことが自治体や受益者とつながるための後押しになりました。
また、特に支援が届きにくい地域で支援を提供したときに、子どもたちや大人たちが笑顔になってくれるのを見ると、本当にうれしくなります。
この感謝の気持ちをこれからもずっと持ち続け、ベストを尽くし、立ち止まることはありません。この幸福をイエメン全土に広げようと努力しています。
モカ市からハイス市への移動中の海沿いの風景。美しい風景が広がります。
私たちの団体では、困っている人々を支援するために、全国であらゆる種類のプロジェクトを実施し、様々な分野で専門知識をもつスタッフが活動しています。
支援を必要としている人々に奉仕するというビジョン、目標、使命を達成するために、私たちは人々の代弁者となり、人々の声を届けることを常に念頭においてこれからも活動していきます!
イエメン全国の11州で、37のパートナーと協力して110のプロジェクトを実施し、約230万人以上の人々に支援を届けています。135人の主要スタッフと、3,000人のボランティアで活動をしています。
活動の分野は、水・衛生、教育、シェルター、生産、教育など5つのセクターをカバーしています。
活動開始から10年が経過し、これまでにNGO Oxfam、UNDP(国連開発計画)、WFP(国連食糧計画)、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)、UNICEF(ユニセフ)など、多くのドナーとのパートナーシップのもと、活動をしてきました。
イエメンはとても美しい国で興味深い歴史的背景を持っていますが、私たちが直面した紛争によって荒廃してしまいました。
若い一人のイエメン人として、いつか国は癒され、明るい未来に向かうことができると信じています。
私たちが復興を成し遂げ、それを世界中のすべての人が知ることになり得ると思っています。
アデン市からモカ市への移動中の風景
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