緊急 種子 支援 ( 1) ― 南コルドファン州の現状と種子配布―
カドグリーダレンジーオベイドを結ぶ唯一の幹線道路は国軍(赤)、SPLM-N(緑)、RSF(黄)が複雑に勢力分割している。(出典:Sudan war monitor)
コミュニティでの聞き取りを実施。
●緊急支援を決定
南コルドファン州は雨季(5-11月)に豊富な雨量を誇り、多くの人々は農業を生業としています。しかし昨年は、紛争の影響で農地に行くことが困難な地域も多く、収穫量も例年より少なく、生活が苦しくて保存していた種子を売ったり食べたりしたために、今期栽培するための十分な種子がほとんど残っていませんでした。こうした状況下、栽培しやすく様々な料理に使用される野菜や主要穀物の種子を配布し、住民の自給自足を支えることが、長引く戦争において人々の命を守ることにつながると考え、緊急支援を決定しました。そして配布する種子は在来種に決定。確かに改良種は、早くかつ安定した収穫が期待できますが、種を採取することができず、毎回種苗会社から種を購入しなくてはいけません。それでは持続可能性があるとは言えません。在来種は、地域の気候風土にあわせて適応してきたため抵抗力が比較的強く、大きな農地を持たないカドグリの農民に適しています。
JVC事務所に届いた種子
通貨価値の下落が続いているため、支払いが1週間遅れるだけで種子の価格も高騰します。契約書を締結したにも関わらず、値上げを要求されたり、十分な数量がないという連絡がありました。契約書の意味とは?と思いつつも、雨季のタイミングを逃さずに、大量の種子がJVC事務所に到着したときは安堵しました。
●住民とともに配布関係機関とも協議し、4つの集落を選定し、クライテリアを設定して特に支援を必要としている250世帯へ以下の穀物及び野菜の種子を配布しました。雨量が十分あり収穫がうまくいくと、平均的な家庭であれば半年分の食料は確保できる量です。
・ソルガム(主食となるイネ科穀物)
・落花生
・ササゲ(マメ科)
・オクラ
集落の住民自身も協力して、種子を運搬し、1世帯ずつ計測し、配布。
JVCカドグリ事務所イスマイルと種子を受け取った女性にも笑みがこぼれる。
スーダン事業 ハルツーム事務所現地代表/イエメン事業担当
京都府出身。大学でアラビア語を専攻し、在学中にイエメンに留学。語学以外に現地の宗教、文化、慣習等を学ぶ一方で、革命や紛争の影響等でライフラインが崩壊した生活、教育を受けられない子どもたちや仕事を失う大人たちを目の当たりにする。
卒業後は途上国・新興国のインフラ支援に携わりたいとの思いで、メーカーにて発電プラント事業を担当。もっと現地の人々に寄り添いながら、可能性が広がることに尽力したいという思いが大きくなり、2018年JVCに入職。好きな食べ物は(料理しないけど)かぼちゃを使った料理。
●スタッフインタビュー「JVCの中の人を知ろう!~今中航さん編~」
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