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【パレスチナ現地レポート#04】壁の向こう側 後編

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皆様こんにちは!JVC広報担当の佐藤です。2024年9月23日から10日間、現地視察のためイスラエル・パレスチナを訪ねてきました。パレスチナ現地レポートその4をお届けします。前回の記事はこちら

アーイダ難民キャンプへ

先日、パレスチナ・ヨルダン川西岸地区を訪れました。検問所を通り抜け、辿り着いたのは、ベツレヘムのアーイダ難民キャンプ。

「故郷に帰る」という希望のシンボルとして、鍵の形をした門が建てられています。ここで亡くなった男の子の写真も掲げられていました。

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アーイダ難民キャンプの入り口

この難民キャンプは1950年に設置され、キャンプといってもテントはなく、74年も経てば家が建っています。家と家のあいだの細〜い道を通ると、幼稚園や病院があり、子どもたちがキャッキャと遊んでいました。そこが難民キャンプとは思えないほど、一見すると小さな街のような雰囲気。

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キャンプの中にあるAida Youth Center (※1) という場所で出会った一人の男性。最近刑務所から出てきた、というこの方は、9ヶ月ほど刑務所で過ごしたそうです。すっかり痩せてしまったそうですが、イスラエル兵に連行された理由は今でも分からない、とのことでした。

当時赤ちゃんだった子どもがこんなに大きくなったよ、と抱っこしながら微笑んでいました。

自由は当たり前ではない

アーイダ難民キャンプにはお土産屋さんもありました。このお土産は、兵士が投げた催涙弾のアルミ素材や、手榴弾の素材などで作られています。

パレスチナで買ったアクセサリーも、検問所では外さないといけません。パレスチナ国旗もスイカのモチーフも、イスラエル側で身につけることは危険と見なされるからです。

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話したい言葉を話し、したいことをして、行きたい所に行ける。世界には、自由が当たり前ではない人びとがたくさんいます。

政府や社会に対して自由に声をあげられることは、壁の遠く向こう側にいる私たちの特権なのです。

自由を与えられている私たちが、いま何をしなければならないか... 悶々と考えながら、私は再びすんなり検問所を通り抜け、帰路に着いたのでした。

現地レポートはつづく…

※1)Aida Youth Centerについて

Aida Youth Centerは、アーイダ難民キャンプの子どもたちや青少年のエンパワメントを目的として、教育や芸術、スポーツなどを実施しています。また、パレスチナ人の権利を守るためのアドボカシー活動や、コミュニティのニーズに合わせたワークショップやイベントを行っています。

私たちがセンターを訪れたのは9月27日。その二か月後の12月4日未明、Aida Youth Centerはイスラエル軍に襲撃され、書類や所持品を押収されました。パレスチナのユニフォームも押収されたそうです。

Aida Youth Centerのインスタグラムにはこう書かれています。

ユニフォームはスポーツ以上のものであり、希望と自分たちの土地とのつながりの象徴でした。またしても占領軍は、アイデンティティと抵抗の小さなジェスチャーさえも封じ込めようとしているのです。

パレスチナ現地レポート

執筆者

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佐藤未奈(広報/FR担当)

福島県出身。大学時代にフィリピンに留学し、人生で初めてストリートチルドレンに出会い、何かしたいと思いつつ無力感を感じる。大学卒業後は客室乗務員として勤務。国内線/国際線に乗務し、中東・ドバイにて10年間生活する。

不規則な生活で体調を崩し、人生を見直すため35歳で退職し帰国。アートが好きだったことから、京都の大学でデザインを学び、グラフィックデザイナー/イラストレーターに。絵本や広報物のデザインなどを手掛ける傍らプロボノとしてNGOに関わるうちに、NGOの広報に興味を持ち、2024年1月、JVCに入職。

イラストの代表作はフィリピンおさるのターシゃん

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「JVCの中の人を知ろう!~佐藤未奈さん編~」

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