【パレスチナ現地レポート#06】次のガザはどこか
皆様こんにちは!JVC広報担当の佐藤です。2024年9月23日から10日間、現地視察のためイスラエル・パレスチナを訪ねてきました。パレスチナ現地レポートその6をお届けします。前回の記事はこちら
ヨルダン川西岸地区にはパレスチナ人が住んでいますが、ユダヤ人の住む「入植地」と呼ばれる場所が点々と存在しています。
入植地は鉄柵と鉄線で囲まれており、お墓や公園を作る、という目的で、突然家を追い出されるパレスチナの人々もいます。彼らは「いつか家を失うかもしれない」という不安に、毎日のように直面しているのです。
では入植地が増えると、どうなるのでしょうか?
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入植地が増えることで警察やセキュリティに囲まれ、パレスチナ人が惨めな思いをさせられ、子どもが不当に拘禁されるなどの困難も少なくありません。
JVCの現地パートナー団体AWCのスタッフの息子さんは5回も逮捕されたことがあり、直近では13日間拘束されたそうです。理由は「入植者の子どもに向けてボールを投げたこと」だそうですが、監視カメラでもその様子は確認できなかったそうです。
こうした状況は2023年10月7日以降、悪化しています。
テルアビブ空港から東エルサレムへ移動する道中にも、自分たちの存在を象徴するかのように、イスラエルの国旗が無数に掲げられています。
日本ではガザのニュースが取り上げられ、がれきを前に避難生活を続けるパレスチナの人々の様子が流れています。
一方、イスラエル政府は、ガザの次はヨルダン川西岸地区をターゲットにする方針を打ち出しています。ヨルダン川西岸地区のジェニンでは、イスラエル軍の軍事作戦が本格化し、何度も空爆が行われています。
次のガザはどこか。「Gazanization(ガザ化)」という言葉がSNSで生まれるほど、事態は深刻化しています。占領の日常は、もはやガザの中の話だけではないのです。
旧市街の中にある入植地。ここにもイスラエルの国旗が掲げられている
一見、安全に見える東エルサレムでも、「いつか家を失うかもしれない」というプレッシャーを感じながら生活しなければならない。子どもたちが街を歩いているときでさえ、暴力や死を目の当たりにする日々。
見かけ上の安定や発展度を保ちながら、平等な権利もないまま、じわじわと命や尊厳や土地を奪われていく、という現実。
日本人の私たちには想像しづらい暴力と抑圧を目の当たりにし、分離壁の前に立つと、圧倒的な無力感に押しつぶされそうになりました。
いま私にできることは何だろう?
もう何もできないのではないだろうか?
そんな時に出会ったのは、JVCの現地パートナー団体AWCの研修に参加していた女性たち。彼女たちはこのような状況の中でも、自分にできることを見つけて行動し、人生に「希望」を持ち続けていたのです。
現地レポートはつづく…
佐藤未奈(広報/FR担当)
福島県出身。大学時代にフィリピンに留学し、人生で初めてストリートチルドレンに出会い、何かしたいと思いつつ無力感を感じる。大学卒業後は客室乗務員として勤務。国内線/国際線に乗務し、中東・ドバイにて10年間生活する。
不規則な生活で体調を崩し、人生を見直すため35歳で退職し帰国。アートが好きだったことから、京都の大学でデザインを学び、グラフィックデザイナー/イラストレーターに。絵本や広報物のデザインなどを手掛ける傍らプロボノとしてNGOに関わるうちに、NGOの広報に興味を持ち、2024年1月、JVCに入職。
イラストの代表作はフィリピンおさるのターシゃん。
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「JVCの中の人を知ろう!~佐藤未奈さん編~」