【ガザ】支援の現場から
2023年10月7日のイスラエル軍によるガザ地区への攻撃開始から15カ月を経て、2025年1月19日に停戦プロセスが開始されましたが、3月18日、突然停戦が破られ、多くの家族が寝ている真夜中に攻撃が繰り返されました。
停戦が破られた3月18日から4月3日の間に1,163人が死亡し、2,735人が負傷しました。さらに、14万2千人以上が避難を余儀なくされ、女性や子どもを含む何十万人もの市民が、今も命の危険にさらされています。
また、3月初旬より、医薬品を含むすべての人道支援物資のガザへの搬入が停止しており、電力や水の供給も途絶えています。そのため、人々は飢餓や医療崩壊といった深刻な状況に直面しています。
2023年10月7日以降、50,810人のパレスチナ人が死亡し、115,688人が負傷したと報告されています(国連人道問題調整事務所(UNOCHA)、2025年4月8日)。
さらに、412人の援助関係者が命を落とし、JVCの現地パートナー団体アルデルインサーン(AEI)も4名のスタッフと2名のボランティアを失いました。幸い、もう一つのパートナー団体パレスチナ医療救援協会(PMRS)からはスタッフの訃報は報告されていませんが、生存者の多くは家族や友人を亡くし、大きな悲しみと喪失感を抱えています。
空爆された小学校でAEIスタッフが配布していたミルクのパッケージ。
この空爆で2名のスタッフが亡くなりました。
私たちJVCは、これまで現地のパートナー団体と協力し、子どもの栄養支援や医薬品の配布に取り組んできました(これまでの活動の詳細はこちら)。停戦が破られた後も支援活動を続けていますが、戦闘の長期化と物価の高騰により、食料不足はますます深刻化しています。特に多くの子どもたちは、限られた食料や栄養補助食品に頼りながら、なんとか命をつないでいる状況です。17カ月以上に及ぶ栄養不足は、子どもたちの健やかな成長に深刻な影響を与える恐れがあります。
さらに、医療の崩壊により、負傷者の治療が困難になっているだけでなく、劣悪な衛生環境の影響で感染症が急速に拡大しています。加えて、慢性疾患を抱える人々も適切な治療を受けられない状態が続いており、長期的な医療支援の確保が急務となっています。
保護者や妊産婦への講習の様子(2025年1月9日、ガザ中部)
ガザでの支援活動は、現地パートナー団体のスタッフたちの献身的な努力によって支えられています。彼らもまた、厳しい状況の中で活動を続けています。
あるスタッフは、これまでに脳卒中を2度経験し、糖尿病と高血圧を抱えながら働いています。彼女は「私の家族は大家族ですが、家計を支えることができるのは私だけです。その責任が働く意欲につながっています」と語っています。
また、別のスタッフは、空爆によって家族と親戚40人を失いました。生き残った家族はわずか3人でした。彼は大きな悲しみを抱えながらも、残された子どもたちの世話をしつつ、懸命に働いています。
支援が現地の人々をどのように支えているのか、その一部をご紹介します。
5人の子どもを抱えるシングルマザーは、危険な状況から逃れるために何度も避難を余儀なくされました。テント生活を続ける中で、食べ物を得るために自分の服を売らなければならないこともありました。JVCの支援によって、彼女の子どもは乳児用粉ミルクを受けることができました。
重度の皮膚感染症に苦しんでいた4歳の少女のケースでは、衛生用品や必要な医薬品が提供され、彼女の健康状態が改善しました。さらに、医師が継続的にフォローアップを行い、家族は感染症の予防について学ぶ機会も得ることができました。
栄養支援は2025年度も継続し、粉ミルクと医薬品配布は3回目の支援を実施しています。
さらに、復興に向けて、現地のニーズを調査し、パートナー団体と協力してさらなる支援を検討していきます。
栄養状態を判断するため、上腕周囲を測る様子(2024年12月19日、ガザ中部)
JVCは、現在下記のような活動の実施・準備をしています。