終了事業:アフガニスタン 地域保健の取り組み
すでにご報告のとおり、JVCは、2016年12月をもって診療所の運営を現地のNGOに移管いたしました。アフガニスタンの置かれた厳しい状況からも、外国のNGOであるJVCが運営を行ってまいりましたが、この診療所は公的施設であり、運営期間がすでに12年ほどになっていたことから、移管を決定いたしました。これまでの活動のご報告につきましては、以下をご覧ください。
診療所移管後も、住民とともに取り組んでいる地域保健の活動はそのまま継続しておりましたが、地域活動は住民による自主的なものであるべきことから、協働主体であるJVCの関与を少しずつ減らしながら、住民による地域保健活動が一定程度、継続されることを目指しました。そして、それが可能になっていることを確認し、2018年度2月をもって、JVCとしての活動を完了いたしました。
これまでいただきましたご支援に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
JVCは、アフガニスタン東部にあるナンガルハル県シェワ郡ゴレーク地域(人口約27,000人)で2つの診療所を運営しました。一つはゴレーク村診療所、もう一つはクズ・カシュコート地区の簡易診療所で、どちらも無料で患者さんの診療と薬の処方を行っています。
ゴレーク村診療所は週6日運営し、一般外来は1日平均100名、男性医師に加え女性医師と助産師を配置して、女性と子どもに焦点をあてた保健・医療活動を行っています。診療の合間には、病気にならないためのからだづくりや衛生改善など病気予防のための健康教育もしています。また、診療所までのアクセスが困難な遠方の住民には巡回してワクチン接種をすることで医療サービスを提供しています。家族単位で診療履歴を記録していくファミリー・ヘルス・ブック(カルテ)は、2010年にJVCがアフガニスタンで初めて診療所に導入しました。2013年度はこれを活用して受診回数が多い家族を選出し、家庭訪問を行って家庭環境を見ながら必要な保健衛生上のアドバイスを行いました。
(ゴレーク村診療所)
(サルカンド地区でのワクチン接種)
クズ・カシュコート地区の簡易診療所は、ゴレーク村診療所から北東に約15km離れた場所にあります。男性医師1名、助産師(女性)1名を配置し、患者数は1日に60~70人です。
(クズ・カシュコート地区簡易診療所)
保健や栄養に関する主体的な取り組みが始まるように、村の長老たちからなる保健委員会とともに目標を設定して保健活動をサポートしています。2013年度は、保健委員会が自分たちで井戸の水質や井戸周りの環境を管理するようになりました。また健康に関する知識・関心を高めるため、村人が利用できる資料室を設置しました。
クズ・カシュコートの保健委員会メンバー、モハマディーンさんクズ・カシュコートの保健委員会メンバー、モハマディーンさんは、こう語ってくれました。
「JVCの活動は純粋に人道に基づいた支援で、アフガニスタンにおける他国の政府の支援と違い政治目的がありません。JVCはニーズにあった支援をするだけでなく、住民の能力に応じた支援を考えながらしているのがわかりました。それで私達はJVCの活動をうれしく思いますし、賛同しているのです」
2014年、アフガニスタン政府保健省によって「家族健康アクショングループ」(Family Health Action Group, FHAG)という名称の女性グループが各村で任命されることが決まりました。その役割は、保健省から地域保健員経由で伝えられる保健事項を家庭訪問で住民に確実に伝えることです。JVCは以前から活動地で女性を対象とした健康教室(母親教室)を実施してきましたので、母親教室を修了して病気予防や衛生向上についての高い意識をもった女性たちが、村人によってFHAGメンバーに選ばれました。活動地には現在16のFHAGがあり、およそ2400世帯を見て回っています。
(家族健康アクショングループによる勉強会)
JVCは、FHAGが保健省の単なる伝達役にとどまらず、自主的に地域保健にとりくむグループに発展していくことをめざします。JVCの女性職員が各FHAGを毎月訪問し、活動状況を把握して必要なアドバイスを行います。またFHAGメンバーが、健康問題を抱える家庭を訪問して保健指導を行うよう支援します。勉強会の開催も行っています。このようにFHAGの活動を支え、女性の自主グループ形成の基盤を固め、女性の社会進出を促すことも大きなねらいです。
アフガニスタンでは政策により各地域に地域保健員が置かれ、軽傷や軽い病気の際に村人が訪れられる仕組みになっています。JVCは地域保健員の研修や活動の支援を行っています。
(保健委員会メンバーが村人に病気予防の大切さを説いている。2016年6月)
(現在建設中のバンガオ村の公衆トイレ 2017年2月)
(家族健康アクショングループの会合記録 2017年1月)
(会合が開かれている地域保健員の自宅。子どもたちが覗き込む。2016年12月)
この地域保健の活動は、日本政府外務省「日本NGO連携無償資金協力」ならびに多くの民間の皆さまからのご支援によって運営されています。
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