終了事業:アフガニスタン平和構築・ピースアクション
2020年4月からは、『平和村ユナイテッド』が『YVO』とパートナシップを結び、JVCに代わって「アフガニスタン・ピースアクション」を継続していくことになりました。詳しくはこちらをご覧ください。
9.11以後のアメリカ主導の「対テロ戦争」の開始から18年、アフガニスタン紛争は未だに終結していません。国連の発表では、アフガニスタンでの紛争による今年の民間人犠牲者の数は記録を更新し続けています。
2019年10月~12月の事件数はすでに状況が悪かった前年と比較してもはるかに増加しており、武力攻撃に巻き込まれた犠牲者には、反政府武装勢力によるものだけでなく、アフガン政府とその同盟のアメリカ軍によるものも多数含まれています。2019年、アメリカによる空爆でアフガニスタンに投下された爆弾は7,423個に上るとのデータが発表されました。
12月にはJVCが現地パートナーYVOと活動するナンガルハル県、ジャララバードでPMS(ペシャワール会)が攻撃を受け、代表の中村哲氏と現地スタッフ5名が殺害される事件も発生しました。また、直接的な紛争だけでなく、2018年頃から大旱魃によっても多くの人々が避難を余儀なくされており、人道危機が続いています。
また、2019年9月に大統領選挙が実施されました。選挙活動を狙った攻撃も増え、反政府勢力・タリバンが選挙への妨害を宣言する中で行われた投票では、投票所でも死傷者が出ています。投票率が2割と低かったとされていますが、攻撃されるリスクを伴う中で一定の人々が勇気と信念を持って投票したことは大きく評価されるべきという見方もあります。2020年1月の時点で、開票の結果再選したアシュラフ・ガニ氏に対して、対抗馬のアブドゥラー・アブドゥラー氏が異議を唱えており、公式な新大統領の発表はされていません。
2019年もタリバンとアメリカの和平交渉は断続的に続けられ、これまで以上に合意への可能性が高まったように見られたが、タリバンの政権参加(この18年間に勝ち取ってきた人権が保障されるのか)や外国軍撤退についてなどが争点となって合意には至っておらず、また最重要アクターのアフガニスタン政府はそこに参加すらできていません。和平プロセスにはパキスタンやロシアなど大国、隣国の関与も大きく影響しています。和平交渉の間も止むことのなかった武力の応酬により、戦闘に巻き込まれて民間人が犠牲となっており、また、武装勢力はタリバンだけに限りません。
国際政治の舞台で繰り広げられる和平プロセスを注視しながら、私たちはナンガルハル県にて、教育支援と、暴力に傾倒しない、平和で安定した地域づくりを地道に続けてきました。
長きにわたる紛争の影響で、家庭や地域社会にも銃や武器が蔓延するなど、暴力が常に身近にあるような環境が見られ、地域で争いがおこると、武装勢力に加担の依頼がなされ、それに対してさらに別の勢力が逆側に加担するといった形で、争いがより大きな暴力につながることもあります。
武力・暴力で対抗すれば、負の連鎖は止みません。家庭や地域での平和・非暴力の学び合いの必要性がより一層高まっているこのような現況を鑑み、JVCは以下のピースアクションに取り組みました。
家庭や地域での争いごとの解決、暴力からの子どもの保護、家庭・地域・指導者・女性・学校・若者・子どもなど、それぞれが果たすべき役割など身近な事例紹介します。
地域で協働する住民グループを通じた、配布物も用いた学びを行います。争いを解決した事例などを報告し合い、お互いの学び合いや励みとし、そういった学びをさらに家族・地域に発信していくよう促します。
事例として、事業地ゴレーク地域を紹介するビデオ製作します。これまで当団体は医療保健・教育活動とそれを通じた住民グループの組織化に力を入れてきており、その結果、地域の結束や安定にも繋がり、暴力などを防いだ事例なども報告されています。そういったこれまでの活動や、新たな本活動を映像化し、今後の学びや経験交流のための資料とします。
比較的治安が安定している事業地ゴレーク地域の住民(「平和大使」と呼ぶ)と治安状況が良くない地域それぞれの住民、関係NGO、メディアなどを招いての平和の取り組みに関するスピーチとワークショップを実施し、平和づくりの事例紹介や意見交換を試みます。
④の平和ワークショップの内容を実際に確認するためにも、治安状況がよくない地域からも住民をゴレーク地域に招いて経験交流を行います。事業地訪問を通じて実際の活動を見学し、住民グループ同士が直接意見交換を行う場を設けます。
他の地域でも平和の取り組みに関心を高め、治安改善のため取り組もうとする新たな動きが出てきた時に、立案・実施に関する専門・技術的サポートを行います。(本事業類似の取り組みも含みます)。
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