REPORT

アフガニスタン

平和ワークショップ 発言内容の紹介

昨春に実施された平和ワークショップでの発言内容の紹介です。

サビルラ(44歳、JVCアフガニスタン現地責任者)

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「2002年からクズ・クナールの住民がJVCと協働してきた地域保健や教育の活動を通じて地域の安定や結束を図ったきた。現在は平和と非暴力の学び合いの活動を進めている。クズ・クナール地域はアフガニスタン全国的に見て比較的安全を維持し、JVCの活動も守られてきたものの、近年ISの勢力が出現したり、事件が起こることもあり、平和が揺らぐことのないよう不断の努力が一層必要になってきている」

ロイダールさん(推定53歳、宗教指導者)

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「本日はこのような素晴らしい場が持てたことが嬉しい。普段はなかなか交流できない地域の住民もここに集って、問題と解決方法を共有する機会となる。我々は誇りあるイスラム教徒であり、平和の宗教として、平和のメッセージを世界に届けなければならない。しかしながら過去40年の間、イスラム教徒やムジャヒディン(イスラム聖戦士)はその役割を十分に果たすことができなかった。悔しいことである。聖なるクルアンは殺傷を明確に禁じており、イスラム教徒は皆兄弟・姉妹であるから、揉め事が起こったときは血を流すことなく平和裏に解決すべきと書かれている。今日この日に我々が集まったのは人権、教育、健康について語り合うためであり、これら全て、平和なしにはありえない。"神は自分自身が努力しない人々の状況を改善してくれはしない"(クルアンの一節)。コミュニティに於いては、長老や宗教指導者のリーダーシップが重要である。一つの例として、私達の村ではそういったリーダーたちが話し合い、武装した民兵の配置を拒否した。そのような積み重ねが大事だ。」

ハリクさん(推定32歳、青年グループ)

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「青年グループがJVCと行った平和や非暴力に関する学び合いは、成果が出ている。争い解決コミュニケーションスキルや交渉、仲介などを学ぶ機会となって、参加者のまわりにも変化が感じられている。例としては青年グループが集まって、モデルガン(実際に怪我人が多く出ている)の販売を禁じる働きかけを行った。子どもたちから銃文化を遠ざけるためだ。家庭からの平和、家庭での教育が特に重要である。」

アシフさん(戦闘が激しい地域の住民)

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「紛争を助長する国々がある一方で、日本は教育を通じて平和に取り組んでいる国だと思っている。教育を徹底することで、平和の尊さを理解できる。ゴレーク村(クズ・クナール郡の中)は平和で、その住民から地域活動の例を聞いた。その経験から学ばなければ。」

発言者(名前不明)(戦闘が激しい地域の住民)

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「このワークショップでの学びは大きい。クズ・クナールの皆さんに伝えたいのは、治安が悪い自分の出身地では、平和というものを理解できず闘う人は確かにいる。しかし、大多数がどれほど平和を渇望しているかを知ってほしい。このワークショップに参加できたのはほんの数名だ。我々はその分もっと迅速に動き、多くの人にこの取り組みを伝えなければいけない。活動に乗り出そう、まずは家族から。盲目に武装勢力に傾倒してはならないと、子どもたちに伝えよう。政府にも責任を果たしてもらおう。モデルガンを扱っている店には売らないように説得しよう、もう銃はうんざりだ・・・。」

この平和ワークショップでは、参加者が今後取り組みたいとしてこのような意見が挙げられました。
・今日のワークショップの内容を周りの人々に伝えること
・NGOの活動に協力すること
・麻薬乱用の悪影響を伝えること
・平和・非暴力の啓発運動に参加すること
・モスク、大学、学校などでも啓発活動を行うこと

執筆者

加藤 真希(アフガニスタン事業担当)

高校生の時にラテンアメリカの情熱的な雰囲気に漠然とした憧れを抱き、同時にその地域の格差や貧困の状況に関心を持つ。大学の交換留学をきっかけにメキシコに何度か長期滞在し、先住民族地域でフィールドワークを行う地域開発学や、都市部のスラム地域での支援活動を経験する。その中で直面する圧倒的な格差の存在や、子どもたちが成長するにつれ夢を持つことが制限されていく社会構造をどうしたら改善できるのか悩む。大学在学中にJVCの調査研究・政策提言インターンを経験して以来、"国際協力"と"NGO"の世界に足を踏み入れる。メキシコから帰国した2012年度から現職となり、東京をベースにアフガニスタンにいる仲間たちと日々連絡を取り合いながらイスラムの世界やアフガニスタン情勢を勉強中。

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