アフガン事務所、初めてのサプライズ・パーティ
ある日、いつものように現地パートナーYVOのサビルラさんとスカイプで事務連絡をしていると、急に彼が「ちょっと今から忙しくなるからまた後で!あ、いや、ちょうどいいや、画面越しに見てて、Join us、マキさん!」とテンションが上がり、慌てて何やら動き出しました。
立ち上がり、画面の向こう側の事務所でせわしなく行ったり来たりしながら話し続けるサビルラさんによると、今朝FacebookでYVOの女性スタッフ、ファティマさんのお誕生日を知ったそう。彼らが住んでいる地域では、誕生日をお祝いするという習慣はあまりなく、自分の誕生日を知らないという人もまだまだ多いそうです。サビルラさんは日本のNGOと関わるようになって、日本人スタッフの誕生日をお祝いをしてきた経験があるので、今日はファティマさんのためにサプライズ・パーティを開こう!とふと思い立ったようです。すでにかわいいピンクのケーキが用意されています。まだ本人には全くの秘密、ファティマさんはフィールドに出ていて、車で事務所に戻ってきているところでした。
テーブルにお花を並べたり、ケーキを置いたり、お茶の準備をしたり。アフガン事務所で史上初!のサプライズ・パーティということで、とても興奮して、そわそわしたスタッフたちの様子が伝わってきます。
(みんなで準備中。あれ、もうキャンドル点火、早くない・・・?)
(この背の高い花、すごい!)
サビルラ:「マキさん、ワハーブさん(同僚)が、ケーキは誰かが食べさせてあげるものだって情報を入手した!」
加藤:「・・・そうだっけ?」
サビルラ:「ろうそくを灯すんだよね、いつ?」
加藤:「直前じゃなきゃ、溶けちゃうよ」
サビルラ:「部屋は最初から暗くしておく?」
加藤:「いいんじゃない」
(サビルラさん:「初めてだからよくわからなくって!」)
いつの間にか、東京事務所の私の後ろにもスタッフやインターンたちが集まり、このサプライズ・パーティの様子をどきどきしながら見守っています。現地スタッフが、何度も何度も事務所周りを監視するセキュリティカメラで、もう帰ってきたかどうかを確認している様子を見て、誰かが「なんて幸せなセキュリティカメラの使い方!」と漏らしました。(笑)
(皆:「なになに?」加藤:「今から始まるみたいだよ~」)
そうこうしているうちにファティマさんが到着!部屋に入ってきました!「わぁありがとう、ありがとう」と嬉しそうです。私たち日本側はHappy birthday♪を歌いました。
ろうそくを吹き消した後、もうひとりの女性スタッフが、スプーンでファティマさんの口にケーキを運んで食べさせてあげていました。満足そうなスタッフたち。
(ファティマさん、おめでとう!)
そのあと他のスタッフたちも、お互いに食べさせてあげておりましたが、これは結婚式のファーストバイトを見たのでしょうか。アフガン事務所の初めてのサプライズ・パーティは大成功と言えましょう!たまたま居合わせた(?)日本側はこの光景に心から癒やされたのでした。
(スタッフたちも皆、お互いに食べさせてあげている)
(続く・・・(すでに東京側は皆、画面から離れております笑))
加藤 真希(アフガニスタン事業担当)
高校生の時にラテンアメリカの情熱的な雰囲気に漠然とした憧れを抱き、同時にその地域の格差や貧困の状況に関心を持つ。大学の交換留学をきっかけにメキシコに何度か長期滞在し、先住民族地域でフィールドワークを行う地域開発学や、都市部のスラム地域での支援活動を経験する。その中で直面する圧倒的な格差の存在や、子どもたちが成長するにつれ夢を持つことが制限されていく社会構造をどうしたら改善できるのか悩む。大学在学中にJVCの調査研究・政策提言インターンを経験して以来、"国際協力"と"NGO"の世界に足を踏み入れる。メキシコから帰国した2012年度から現職となり、東京をベースにアフガニスタンにいる仲間たちと日々連絡を取り合いながらイスラムの世界やアフガニスタン情勢を勉強中。
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