活動の現場からREPORT

皆さま、こんにちは！JVCインターン生のアリシアです。

本日はJVCと連携をしている、アフガニスタンの国内NGO、Your Voice Organisation （YVO）の昨年度の活動について報告します。

アフガニスタンの多くの人々は読み書きができないと言われています。それは、2001年から2021年の20年間もわたるアフガニスタン政府と同国駐留外国軍対武装勢力タリバンの紛争の影響を受け、全国の（特に紛争の最前線となった農村部に暮らしている）子どもたちが国の教育を受けられていない傾向があるためです。

それに、アフガニスタンでは15歳を超えると、基礎教育を学校で受けることが法律で禁止されているため、地域部での成人人口の多くは、現地語であるパシュトゥー語が読めなかったり、簡単な計算ができなかったりします。また、2021年8月にタリバンが国を掌握した瞬間、女子中等教育を禁じたため、これからアフガニスタンの人々の識字レベルはさらに減少するでしょう。

以上のような非識字の状況を改善すべく、YVOは識字率向上プログラムを開始することにしました。15〜45歳の男女に対し、読み書きと数学の授業を通じて、各々が個人の尊厳が持てるように支援するプログラムです。識字率向上プログラムの詳細について、YVOのプロジェクトマネジャーであるワハーブさんにインタビューを行うことにしました。以下、インタビューの内容になります。

2020年に計画が始まり、新型コロナウイルス感染症や政情不安の影響によりしばらく保留されていた本プログラム。ついに2022年10月に開始され、ナンガルハル州のパチル・アオ・アガム地区とロダット地区に活動拠点が置かれました。

教師選抜試験、採用、訓練を実施したのち、各地区で生徒30名規模の授業が7つ、合計で14の授業が開始されました。教育機会が非常に限定されている女性を優先的な対象としたため、14のうち10の授業は女性向きになっており、さらに女性の教師が活躍しています。

授業は各生徒の家族の理解のもと、週に6日、それぞれ2時間で行われ、時間帯は生徒とその家庭が自由に決められるものとなっています。事前に借りた教室を使用し、教科書や文房具などを生徒に配布することで、生徒が授業に参加しやすい環境づくりが心がけられています。

このプログラムでは、9ヶ月間で小学校3年レベルまでの識字力が習得可能です。読み書きと計算の教育は、コーラン、数学、パシュトゥー語の教科書の3冊で成り立っており、加えて「平和な暮らしへの道」という本と、健康増進と感染予防に関するファミリーブックに基づいた教師の指導により、安全で平和な人生を送るための方法についても教わる機会が提供されます。

今回のプログラムは先月に終了しましたが、現時点でもうすでに成果を出しています。女の子や女性を含め、生徒によっては授業で学んだ数学の知識（ものを測ったり、利益が得られるように値段を設定したりするなど）を用い、実際に営業を始めたり、街で売買をしたりしています。

生徒たちは識字率向上プログラムを通じて教育の重要性を知り、家族（または周囲の人たち）は子どもが学校に行く必要性を認めるようになりました。このように、プログラムは生徒自身に留まらず、コミュニティ全体にまで好影響をもたらしています。

生徒は読み書きと数学だけではなく、大事なライフスキルを得ることができました。生徒たちにアンケートをとったところ、多くの生徒が「自分と境界への安全意識が高まった」と答えています。

例えば、廃棄物の処分仕方、健康的な食生活、ワクチンなどの病気予防対策、人権、コミュニケーションを高める方法や、社会で人々と良い関係を築く方法を学んだと伝わりました。一人一人のの能力が開花し、そしてより多くの人々が教育に関われるよう、クラスが続いていくことを希望しているそうです。

この授業を取る機会が響い生徒の一人に、アスマさんという女性がいました。彼女は、自分の家族の財力をつけるだけでなく、教わった能力を周りの人に教えることを通じて、故郷に奉仕したい、といった気持ちで授業を始めたそうです。「教育を受けないと、善悪と正邪を決めることもできなく、自分の権利ですら分からない」という理由から、アスマさんは教育が「男性であるか女性であるかに関係なく必要不可欠な権利」だと信じています。女性も受け入れる教育プログラムは少なく、だからこそ、このプログラムは珍しく貴重な機会だと感じました。

プログラムの高い成果にも関わらず、不安定な政情や政府の方針の変化などにより、寄付が十分に確保できず、活動を回し続けるための資金が不足している状況だそうです。より多くの生徒に教室への参加機会を提供したり、学ぶスキルをさらに広げたりするべく、YVOは資金のある限り識字率向上プログラムの継続に努めています。プログラムの将来の動向が楽しみです！

YVOの活動について具体的に知りたい方は、是非YVOの団体Webページをご覧ください。