【ガザ】現金給付支援が現地に届き始めました
こんにちは。広報担当の大村です。
前回の緊急支援進捗報告から約1カ月の時が過ぎました。停戦は未だされておらず、3月19日現在、ガザの死傷者は10万人を超えています。
私たちと共に過去に母子保健のプロジェクトで活躍してくれた元ボランティア(地域保健推進員)の女性2名の死亡も確認されました。そのほか、北部に住んでいた関係者とはほとんど連絡がとれない状態が続いています。
言葉にならない惨状の中、支援と、停戦への働きかけを止める訳にはいかないと、必死の思いで活動を続けています。
活動を支えてくださっている皆様に、この場を借りて御礼申し上げます。
(10月7日以前のガザでの支援活動の様子)
1992年からパレスチナ、2002年からガザで支援活動を続けてきた私たちは、現在、3つの緊急支援活動を試みています。
今日はその内のひとつ、現金(モバイルマネー)給付支援について、実際に給付金を受け取った人の声を中心にお届けします。
やっと給付金が、現地の人びとのもとに渡り始めました。
(給付金で買えたという食料の一部)
ガザで長年活動をともにしてきた現地NGO・アルデルインサーン(AEI)と共に実施している支援活動です。
アルデルインサーン(AEI)のスタッフ自身がほぼ全員避難民であり、また、銀行窓口が閉鎖するなど給付まで様々なハードルがありましたが、何とか皆様のお気持ちを給付金として、ガザに届けることができました。
今回の対象は100人で、1人200ドルを支援しています。実際に給付を受け取った方からのメッセージが少しずつ届いていますので、紹介させてください。
それは、10月7日の早朝に始まりました。イスラエルが私たちの周囲を爆撃し始めた当初、私たちは4日間自宅にとどまりましたが、次第に恐怖を感じ始めました。
子どもたちは「お母さん、家を出たい」と私に言い続けました。私はただ子どもたちを安心させ、落ち着かせることに精一杯でした。
もっとも困難な夜のひとつであったその夜、爆撃がいたるところで起こりました。
子どもたちが希望したので、私たちは安全であると考えられていた、UNRWAが運営する学校に避難しました。
そこで、私たちの苦しみと屈辱の時間がまた始まったのです。学校は避難民でごった返しており、眠っている間も絶えず人が行き来する廊下の一部で、座って過ごすしかありませんでした。
食事は床に放り投げられている缶詰で、 時には3日間、水なしで過ごすこともありました。
このような状況の中、何の前触れもなく学校の隣でイスラエルによる爆撃が行われました。私の子どもたちは、避難所である学校で負傷しました。私の子どもたちだけでなく、多くの負傷者が発生し、飛んできた石や破片で亡くなる人もいました。
私たちはただ安全であることを願い、学校にとどまりました。
苦しみは、耐えるのがやっとというところまで増していきました。寝るスペースがないので、一晩中起きているしかありませんでした。
しばらくすると、占領軍が、この地域からの避難をアナウンスし始めました。
一体どこへ行けばいいのか?恐ろしい夜を過ごしました。
火が、学校を取り囲んでいました。
朝が来ることすら信じられませんでした。やがてイスラエル軍の飛行機が学校にビラを投下し、南部のラファやデル・アル・バラフに避難するように促しました。
私たちは苦しみの中、また新たな困難に苦しみ、再び避難を始めることとなったのです。
まるで、判決の日のようでした。
忘れられない光景です。
人びとは学校からデル・アル・バラフやラファに向かって散らばっていきました。
デル・アル・バラフに避難し、辿り着いた学校は満杯で、私たちを受け入れてくれる人は誰もいませんでした。
歩道に座って夜を過ごすしかありませんでした。
恐怖と、凍える寒さに満ちた夜でした。
負担をかけるのは避けたかったのですが、これ以上の選択の余地はなく、私たちは親類の家に身を寄せることを決めました。
親類宅で3日間過ごしましたが、イスラエル軍がその家の近くを爆撃しました。
すべてのアスベストと壁の一部が崩れ落ちましたが、神が私たちを救ってくださり、私たちは奇跡的に脱出することができました。
私たちはまた、別の避難先を探し始めました。
地面に座っていると、テントを張り始めた人たちがいましたが、私たちはどうしたらいいのかわからず、無力でした。
テントを配布しているところがあると聞きつけ、何とかテントを手に入れました。今は雨水や寒さ、生活必需品の不足といった新たな苦しみが私たちを襲っています。
JVCの資金で、過去のボランティア(地域保健促進員)を対象に200ドルの資金援助をしてくれると聞いた時、本当に嬉しかったです。
今、家族7人で小さなテントで暮らしながら、水や食料の入手の難しさなど、多くの問題に直面しています。本当に助けが必要な状況でした。
現在の私たちはほとんどの場合、缶詰を食べています。時々援助を受けられた時、まずは野菜、米、パスタ、小麦粉、油、砂糖、そしてお金に余裕があれば肉を買おうと考えますが、値段が高騰しており、購入することはまずできません。
食料の値段は法外で、小麦粉は以前の何倍もの価格で売られています。
JVCの支援は、私の子どもたちに喜びを運んでくれました。本当にありがとう。
この5カ月間ずっと、食料が不足しています。今回の給付金で買ったジャガイモと卵で料理を作ってあげると、子どもたちがとても喜びました。
(やっと買えたという卵とジャガイモ)
他に買いたいものもありましたが、高価で諦めざるを得ませんでした。
でも、本当にありがとう。感謝しています。
(Hさんから届いた、今回の支援で買えたもの)
10月以降、JVCは現地とのネットワークを生かして、緊急支援を続けています。
医療支援、粉ミルク支援は苦戦していますが(常に現地で調整しています)、現金(モバイルマネー)支援は着実に現地の人々に届けることができています。
上で紹介したHさんのほか、あと5人分、ガザから届いた情報が手元にあります。
今後記事にしていきたいと思っていますが、皆に共通しているのが、第一に感謝の言葉と、残念ながら「足りない」という状況の報告です。
(おむつや毛布を購入した人も)
現地で起きていることを考えれば、支援はいくらあっても足りないのが実情でしょう。
今、ガザが抱える余りにも大きな傷から流れる血は、どんなに止血を試みても広がり続け、とどまることがないようにも感じられます。
流れる血を止めるためには何よりも根源を絶つ=停戦が必要ですが、それがなされない今は、できる治療を続けるしかありません。
状況は本当に深刻です。
ある意味で対症療法としての支援を続けるしかない現状が悔しいですが、この支援をやめる訳にはいきません。
皆様からお預かりしたご寄付のおかげで繋がった命、生まれた笑顔、少しでも満たされた空腹感が、ガザにはたしかにあります。
JVCは引き続き、ガザ緊急支援のための資金を募ります。
今予定している支援活動を拡大したり、新たな活動を検討したり、何が現地に必要なのかを見極めながら、停戦のための働きかけと並行して、現地での支援活動を続けていきます。
ガザ緊急支援にご協力をお願いいたします。
特定非営利活動法人日本国際ボランティアセンター(JVC)
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