気仙沼はいま 第3回開催報告
※2018年度末をもって、東日本大震災関連の活動はすべて終了しております。多大なご支援をいただきましてありがとうございました。
この開催報告は、シリーズ気仙沼のいまの第三回目となります。
第3回目となった「気仙沼はいま」。今回のテーマは「ボランティア」です。気仙沼に駐在して1年になる岩田が気仙沼でのボランティア活動について報告をしました。その一部をご紹介します。
岩田:JVCは「ボランティア」という言葉を「自発的意志をもって、責任ある行動をとること」という意味で使っています。私もJVCから給与をもらっていますが、自発的な行動をする「ボランティア」として活動をしています。そういう意味をふくめて今日のタイトルを「『ボランティア』のこれまで、いま、これから」としました。
私自身は、JVCの東京事務所で事務ボランティアをしていて、2011年6月からスタッフになりました。社会福祉協議会が設置した気仙沼市災害ボランティアセンターは、2011年8月になって「災害」という言葉をとって気仙沼市社会福祉協議会ボランティアセンターになりました。これは、ボランティア活動が当初のがれき撤去や家屋清掃から生活支援や地域支援に転換してきたことに起因します。
ボランティアの数も2011年5月のゴールデンウィークをピークにその後減り続けています。生活支援、地域支援活動は中長期におよぶため、短期滞在型の人たちの活動が難しくなってきました。このなかで短期型ボランティアを活かせるアイディアはないか、各自治体・団体の中で模索しているのが実情です。
家屋清掃のボランティア作業
最近は、草刈の依頼が多くなっています。「草刈」と災害の関連性は薄く見えますが、いろいろ話しを聞いていくと、そうでもないことが分かります。もともとこの集落では、草刈を共同作業として行っていました。しかし、震災で周辺住民が離散してしまったために、共同作業ができなくなりました。ここに震災の影響が見られるのです。
では、支援は本当に必要なのでしょうか。ニーズに対応するボランティアが来るのを待っている間に自分たちで作業をしてしまったケースがあります。自分たちでできることをボランティアが阻害していることもあるのではないか、と思うようになりました。ですから、とにかく「対話」からはじめることが重要だと考えています。
「はいはい」と受けてしまうのではなく、本当にそれが自分でできないのか、なにが足りないのかを時間をかけて話していく。時間をかけて話して情報提供をしたり、悩みを聞くなかで、自分たちでできるようになる人もいるのです。しかしそれでもできない人もいます。その場合、ボランティアが全てやってしまうのではなく、ボランティアと住民の方の協働の方法を探るということが大事になるのだと考えています。
対話を繰り返すことで解決できることがあります。対話自体が、住民の心の負担を軽減する効果があるのではないかと思います。また、地元の人々の中には声を出せる人と出せない人がいることが分かってきました。なかなか声を出せないけれど、本当に支援を求めている人たちに寄り添うことが大事だと考えています。そして、住民がこれからどういう「まち」を創っていきたいのかを考える際、住民と行政、住民と外部の専門家をつなぐなどの、「仲介」の役割がJVCにはあると思っています。
地元の団体はとにかく気仙沼に来て欲しい、と言います。東京に住んでいる人の中には、「被災地に観光に行くのはどうなのか」と思っている人もいらっしゃることと思います。地元団体は気仙沼に人を呼び込む入り口として「ボランティア活動」を準備しているところもあります。ボランティアに参加しながら、観光をして欲しい。そうやって気仙沼の経済を回していくことも大事な関わり方だと思います。
報告会の様子
意見交換の場では、「今後のまちづくりのためにJVCは現場からの政策提言に力を入れて欲しい」といったご意見や、「支援のし過ぎも問題だ」といった問題提起がありました。JVCとしては、実際の現場でこうしたご意見を十分に配慮しながら活動を進めていきたいと考えています。
下田 寛典
緊急支援担当
大学在学中に1年間、JVCの「タイのNGOで学ぶインターンシップ」プログラムに参加。卒業後、インターン先で再度ボランティアとして活動を続けたが、その年の暮れにスマトラ沖津波がその近くの村を襲った。他人事とは思えず、一時帰国中、「仲間たちのために何かできることはないか」と考えJVCに参加した。その後、タイ事業と、主に緊急支援事業を兼務。
2012年8月 3日 更新
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