PMRSガザ、リハビリテーション・センター
ガザ北部にある、PMRS(Palestinian Medical Relief Society=パレスチナ医療救援協会)のコミュニティー・ベースド・リハビリテーション・センターを視察しました。ここでは、運動障害などを抱えた人々が、理学療法、作業療法によるリハビリテーションを受けると同時に、障害を持った子どものお母さんなどにも療法の講習を行ったり、お母さんたち同士が話し合って問題をシェアするなどのサポートも行っています。また、地域の青少年組織や、女性組織、保健組織ともネットワークを促進し、障害を持った子どもたちが社会から阻害されずとともに生きていくことができるよう、学校など受け入れる側の障害に対する意識の改善など、地域レベルで側面的にもサポートを行っています。もともと、北部では人口の2.1%、5,000人以上の人々が、何かしらの障害を持っているとのこと。身体的なサポートに加えて、障害を持った人々を地域社会で支えていくようにするための取り組みは、とても大切です。
停戦状態になってから北部で行った調査では、169人の人々が今回のイスラエルによる攻撃により“障害”を負ってしまったとのこと。その6割以上は、手足などの切断による障害といいます。リハビリテーション・センター長は、「今回の攻撃で、多くの人が手足などの切断をせざるを得ない怪我を負った。身体的な傷だけでなく、手や足を失ったことによる心理的なダメージも大きい。そういった人々が、きちんとケアを受けられ、また学校や地域全体が障害を負った人々を受け入れ、ともに支えあって生活していくために、僕たちがしなければいけないことはたくさんある」といいます。
(障害についての意識向上のためのキャンペーンの写真)
マフムードさんとともに、2人の子どもが障害を持つジャバリア北部の家庭を訪問しました。マフムードさんは、理学療法を勉強し、今はボランティアとしてこのセンターで働いています。通常は、週3回センターに通っていて、お母さんも自宅でケアができるようにマッサージの方法をセンターで学んでいるとのこと。
(マッサージを受けるバハア君)
2歳半のバハア君は、脳性麻痺のため手足や首の筋肉や関節に力が入らず、座ることもできず身動きがままなりません。マッサージは関節を動かしたり伸ばしたりするので、小さな体のバハア君は少し痛そう。途中で泣き始めたりもしましたが、マフムードさんは丁寧に丁寧に、バハア君に話しかけながらマッサージを行いました。「まだ力は弱いけれども、1年かけてこのケアをしてきて、改善が見られている」とマフムードさんは嬉しそうにいいます。彼のようなボランティアが、PMRSの活動を支え、そして人々が生きていくための支えになっているのだと思います。また、4歳半になるバハア君のお姉さん、アンワルちゃんは、脊髄破裂のため下半身が麻痺おり車椅子を使って生活をしています。PMRSによる幼稚園や学校などへの働きかけにより、アンワルちゃんは現在、幼稚園に通えるようになったとのことです。
(アンワルちゃん(左)は私たちを笑顔で迎えてくれた)
22日にわたった攻撃が終わって静かになったガザですが、今も断続的に衝突は起こり、人々は「次いつまた攻撃があるかわからない」と、楽観視をしていません。今も電気や清潔な水、食料などがなく、また瓦礫となった家の側でテントでの生活を続けている人々も多いままです。人々の生活は、停戦状態になったとはいえ、厳しい状態が続きます。そんな中で、攻撃により身体的障害を追ってしまった人々に対するケアを地域社会全体で行っていこうとするPMRSの取り組みは、非常に大切だと感じました。
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