ガザ・ハンユニス・栄養センター[1]:お母さんたちとスタッフの頑張り
ガザ南部、ハンユニスにある「人間の大地」栄養センターに到着し、階段を上ると、いい匂いが漂ってきました。このセンターでは、栄養失調の子どもたちに治療用の食事を提供しています。調理室を覗くと、お母さんたちが子どもたちに食べさせる食事を調理していました。「暑くなってきたから、消毒もしっかりね」と、栄養指導員さんがお母さんに器の消毒の仕方を教えています。
(しっかり器を消毒するお母さん)
(小さな子ども用に、スープをかくはんする)
野菜とお肉のスープの食事。調理した後、小さな子どもが食べられるように、ミキサーで液状にする様子を見ていると、バシバシッと勢いよく肩を後ろから叩かれました。
振り返ると、満面の笑みのお母さんが立っています。「うちの子は兄妹2人とも、栄養失調でこのセンターに来ているのよ。上の子はおかげさまで、先月“退院”したわ。もう1人の子も順調に元気になっていってるの」。早口でまくし立てられ、きょとんとしている私に、栄養指導員さんが笑いながら「お礼を言っているのよ」と通訳してくれました。
このセンターでJVCは、家庭への持ち帰り用の乾燥食材の支援と、イスラエル軍の侵攻後の緊急対応として、センターで調理する栄養食に使用する生鮮食材の支援を行っています。「乾燥食材も受け取っている?」「ええ。2週間に一度、受け取っているわ。治療法や食べさせ方も、しっかり教えてもらっているのよ」他のお母さんも「緊急救援で配給される缶詰などの物資よりも栄養がきちんと取れるわ」と続けます。
(乾燥食材の配布準備をする栄養指導員さんと健康指導員さん)
子どもたちがセンターに栄養食を食べに来るのは、週2〜3日。家でもしっかり、お母さんたちが、センターで学んだように栄養食を作って食べさせなければ、子どもたちの栄養状態はなかなか改善しません。子どもたちが家でも栄養のあるものが食べられるよう、JVCは国際難民支援会(RIJ:Refugee International Japan)様のご支援により、持ち帰り用の乾燥食材を配布しています。この日は、その配布にも立ち会いました。それぞれの子どもの栄養カウンセリングも行う健康指導員の女性が、一人ひとりに手渡しをしていきます。袋の中身は、
・ レンズ豆(500g)、ブルグル(挽き割り小麦、250g)、ヒヨコ豆(250g)、その他栄養価の高い2種類の豆(それぞれ500g)を合わせたもの
・ 挽いた米(1kg)
・ セモリナ粉(1kg)
・ ナツメヤシと蜂蜜のペースト(900g)
これで、6ヶ月以上の栄養失調の子ども一人の2週間分です。袋には、これら中に入っているものの一覧と、調理の方法、注意事項などが書いたカードが入っています。これは、センター長のハナンさんのアイディアで、「カードをビニール加工したの。台所で使うものだから、濡れたり粉がついてもいいようにね」とのこと。私が感心して「台所に立たない男の人には、こんなアイディア考え付かないよね〜」と言うと、嬉しそうに頷きました。
(豆などを挽いて合わせた粉)
(パッケージの中身。手前のカードが、センター長の自信作。JVCのロゴ入りです)
さて、子どもたちの食事の準備ができ、フィーディング・ユニット(食事を食べさせる部屋)に行きました。この日は学校の修了式だったため、健康指導員さんによれば、「小学生の子どもたちの修了式に出るお母さんも多いから、半分もいないわね」とのこと。それでもこの日、1つのフィーディング・ユニットには19人の子どもたちが来ていました。
(パッケージを受け取りに来た親子と。子どもは栄養食を食べてぐっすり…)
つづく
福田 直美
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