JVC他38団体、人道的危機の発生を懸念する声明を発表 11月9日からのガザ・イスラエル情勢について【6】
JVCは、ガザ・イスラエル情勢の悪化とガザ地区での人道的危機の発生を強く懸念しています。そのため、2012年11月19日、パレスチナで活動する国際NGOの連合体であるAIDA(Association of International Development Agencies)の声明に署名しました。
以下、プレス・リリースの和訳と原文をご覧ください。(以下和訳=JVC)
ここ数日間、軍事衝突が激化しており、ガザ地区とイスラエルの一般市民の生活にも悪影響をもたらしています。これを受けて、38の援助団体は今日、世界中の指導者に対して、市民の生命とインフラ設備を守るとともに、軍事衝突の長期化によってガザ地区で再び大規模な人道的危機が発生することを防ぐために、停戦実施に向けた行動を直ちに起こすように要請しました。
38の支援団体は、国際社会が、ガザ地区に人道支援物資を供給できるようにガザ地区の境界線に設置された検問所を継続的に開放するようイスラエル政府に直ちに圧力をかけるとともに、全ての紛争当事者に対して、暴力に訴えることをやめ、国際法に基づく義務を果たしていくように圧力をかけなければならないと述べています。
オックスファムの国別担当者ニシャント・パンディーは、「世界の指導者はガザ地区とイスラエルで民間人の負傷者が増え続ける中で、事態を傍観していてはいけません」と述べました。さらにパンディーは、「停戦に向けた働きかけこそが、今すぐ必要とされていることです。ガザ地区はイスラエルによって5年以上も封鎖され、2008年から2009年にかけて、イスラエルはガザ地区に対して軍事作戦「キャスト・レッド」を実施しました。そのために、ガザ地区のパレスチナ人市民は人道的危機に立たされてきました。現在継続中の軍事衝突は、この人道危機を継続させるだけでなく、より一層悪化させようとしています」と話しました。
38の支援団体は、保健医療に関わるガザ地区の地元NGOや病院が、最低限必要とされる医薬品や医療用品が不足しはじめていると発表したことを受けて、今回の呼び掛けを決定しました。さらにこれら支援団体は、軍事衝突の激化によってガザ地区内で活動するパートナー団体やローカル・スタッフの移動が難しくなっている状況を受けて、負傷者を救出・治療したり、食料など必要とされる物資を人々に提供したりすることが困難となりつつあると発表しました。
国際NGOマーシー・コープスで西岸・ガザ事業を統括するアレクサンダー・ミルティノヴィッチは、「イスラエルとハマースの間で暴力の応酬が激化していく中、女性や子どもなど数千もの無実の市民が、その間で身動きが取れなくなってしまうという危険にさらされています。私たちは、全ての紛争当事者および世界の指導者に対して、政治的解決を模索し、人命がこれ以上失われることがないように対策を講じることを強く求めます。もし世界の指導者たちが事態に介入しなければ、ガザは再び人道危機の瀬戸際に立たされるのです」と述べました。
38の支援団体はまた、過去数日間の民間人の死傷者について触れ、全ての紛争当事者は国際法に従って民間人の保護を最優先すべきであり、それが決定的に重大な意味を持っていると述べました。さらにこれらの諸団体は、多くの一般家屋が空爆と砲撃によって破壊されている現状に鑑み、市民の保護には非軍事的なインフラ設備の保護も含まれるという点を強調しました。
セーブ・ザ・チルドレンの国別代表であるアレックス・スヘインは以下のように述べています。「セーブ・ザ・チルドレンは、ガザ地区とイスラエルでの暴力の激化を非常に深く憂慮しています。死者の中には子どもたちも含まれています。軍事衝突の中で最も過酷な状況に置かれるのは、常に子どもたちなのです。セーブ・ザ・チルドレンは全ての紛争当事者に直ちに暴力をやめるように求めます。」
ここに集った国際組織は、暴力的な衝突が直ちにやむことを求めており、そのため、2009年3月に採択され、恒久的な停戦の条件と紛争当事者間の安全保障を長期的に実現するための工程を示した国連安全保障理事会決議1860号を実施する必要性を訴えました。
カーター・センター現地事務所所長のデビット・ビバッシュは、「1860号決議が完全に実行されず、それが逆に暴力の連鎖を激化させる結果となりました。今こそ、この連鎖を完全に断ち切る必要があります。国際社会には市民を守る義務があり、全ての紛争当事者に対し、戦闘をやめ、平和に向けて働き始めるよう強く求めなければなりません」と述べました。
いまだ封鎖が続くガザ地区には160万人のパレスチナ人が住んでおり、うち半数が子ども、約5万人が年配者です。この署名に集う国際組織は、ガザ地区でのイスラエルによる再度の軍事行動は、彼らがともに活動してきたガザの人々に更なる苦難を強いることに過ぎないと述べています。
CAREのパレスチナ代表、デビッド・ホワイト氏は、「国際社会が行動を起こさなかった場合の代償を最も多く払うのはガザの一般市民です。CAREとガザで働くパレスチナ人のパートナーたちはいまだに、破壊された家々の瓦礫の中で暮らしています。このようなことは強く非難されるべきことであり、決定権を持っている人々はこの紛争を止めるためにただちに行動しなければなりません。再度の軍事衝突によってガザの人々が払わなければならない代償の大きさは測り知れません。ガザの人々には、壊された生活を再び復興させるだけの十分な余力をもはや持っていないからです」と言いました。
以上
署名団体一覧
脚注
国連人道問題調整事務所(OCHA)によると2008年から2009年に行われた「キャスト・レッド」作戦で殺されたパレスチナ人は1,400人に上り、そのうち353人は子どもであったと伝えています。パレスチナ人5,300人がけがをしました。また、3人の一般市民を含む13人のイスラエル人も殺されました。
11月14日水曜日に、イスラエルは、エジプト国境付近にある物資運搬のために利用されているケレム・シャローム検問所を封鎖しましたが、18日に再開させ、124台のトラックによる物資運搬を許可しました。しかしこれは、封鎖開始前にガザ地区に物資を運搬していたトラック台数の3割にすぎません。
AIDAは、占領下にあるパレスチナ全域とイスラエルに展開している80以上の国際援助団体および開発組織によって運営されています。今回は、そのうち38の組織がこのAIDA声明に署名しました。また、これらAIDAメンバーの個々の組織から出された意思表明に関しては、AIDAの公式な見解ではありません。
パレスチナの主要紙など各国メディアが、この声明について報じています。
[Irish Examiner 2012/11/19 Ireland]
[Asian Image 2012/11/19 U.K.]
[Alert Net 2012/11/19 Trust.org]
[Frankfurter Rundschau 2012/11/19 Germany]
[de Stentor 2012/11/19 Netherlands]
[SPIEGEL 2012/11/19 Germany]
[AFP 2012/11/20 France]
[AL ARABIYA NEWS 2012/11/19 Middle East]
[FRANCE24 2012/11/19 France]
[reliefweb 2012/11/19 OCHA]
[Alert Net 2012/11/19 Trust.org]
[Ma'an News Agency 2012/11/19 Palestine]
[AFP 2012/11/19 France]
[YOUR MIDDLE EAST 2012/11/19 Middle East]
[Al Arabiya News Channel 2012/11/19 Middle East]
[Morning Star 2012/11/19 U.K.]
[Knack 2012/11/19 Belgium]
[lainformacion.com 2012/11/19 Spain]
[Challenges 2012/11/19 France]
[Trouw.nl 2012/11/19 Netherland]
[europapress 2012/11/19 Spain]
[Observer 2012/11/20 Oman]
今野 泰三、金子 由佳
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