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パレスチナ

ガザの声「昨夜から今朝まで催涙弾の匂いがしており、イスラエル軍が近くに来ているのを感じています」(7月18日午後9時付)

7月18日、イスラエル軍は地上侵攻を開始しました。

侵攻開始から現在(日本時間18日午後9時)までにすでに、5歳の幼児を含む28人のパレスチナ人が殺されています(Maan News)。JVCガザ事業のパートナー団体で働くアマルに、安否を確認するため電話しました。彼女とその家族が、地上侵攻で最初の被害を受ける可能性の高いガザ地区北部ベイト・ハヌーンに住んでいるからです。

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ガザ地区のJVC活動地にてアマル。2014年1月、広瀬撮影

電話越しでも銃声が聞こえる中での会話でした。

「私たちは、本当に悲惨な状況に置かれています。私と家族は一緒に自宅に留まっていますが、家のすぐ近くに戦車からの砲弾が落ちてきました。人々は泣き叫んでいます。いたるところで爆発が起こっていて危険すぎて、AEIの診療クリニックには、スタッフも患者も誰も行けません。ベイト・ハヌーン北部の境界線に近い地域からは人々が逃げてきています。イスラエル軍はまだ町には入ってきていませんが、昨夜から今朝まで催涙弾の匂いがしており、イスラエル軍が近くに来ているのを感じています。彼らは、硫化水素のガスも撃っているらしく、硫黄の匂いもしてきています。イスラエル軍は発電所も破壊したため、昨夜から現在(午後3時)まで電気も来ていません。でも、あなたたちと話せてよかったです」

携帯電話の充電もできない中で長時間電話ができないため、ここで電話を切りました。彼女とその家族の安全を祈るぐらいしか、電話越しでは何もできないことに無力感を感じ、悔しい思いで一杯になりながら、涙を抑えるだけで精一杯でした。

執筆者

今野 泰三(パレスチナ現地代表)

大学在学中に明け暮れたバックパッカー旅行。その道中、カンボジアで内戦の記憶と開発のひずみの中で苦しむ人々と出会い、シリアでパレスチナ難民から祖国への思いを聞き、ロシアの空港ではどこにも行けない無国籍のガザ難民と夕食を共にした。無数の出会いに背を押され、01年よりJVCボランティアチームに参加。英国留学、シンクタンク勤務、エルサレム留学、大阪での研究員生活を経て12年より現職。パレスチナで見たもの聞いたものを日本の皆さんと分かち合いながら、世界の「希望」「幸せ」を少しでも増やせるよう一緒に考え行動していきたい。

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