【 パレスチナを支援するイスラエルのNGO 】連載開始のごあいさつ
こんにちは、JVCパレスチナ事業担当の並木です。
私は普段、パレスチナやJVCの事業についての講演を行っていますが、その中でよく聞かれる質問があります。それは、「パレスチナの占領について、イスラエルの一般市民はどう思っているんですか?」というものです。そういったご質問には、イスラエルにも色々な立場や考えをもつ方がいることをお伝えし、「中にはパレスチナの人々と協働し、占領問題に向き合うイスラエルの団体もあります」とお答えしています。
JVCスタッフも、これまでに10の団体に聞き取りを行っています。また一部団体については、活動現場を訪問させてもらったこともあります。そこで、次回からシリーズものとして、パレスチナを支援するイスラエルのNGOをご紹介したいと思います。
なお、イスラエルのNGOへの聞き取りプロジェクトを実施したのは、現地事務所に来てくれた大学院生のインターン・小寺愛惟さんです。3ヶ月の期間、現地に滞在し、事業をお手伝いいただきながらプロジェクトを進めてくださいました。
以下に、彼女の言葉をインターン報告書から一部抜粋してご紹介したいと思います。
2015年10月から翌年1月のうち3か月間をパレスチナ事業の現地インターンとして過ごさせていただきました。エルサレムに来たのはこれが3度目で、修士課程での勉強を通じてイスラエルに関してはいくらか要領を得ていたのですが、合わせ鏡であるパレスチナに関して、恥ずかしながら各種資料以上の知識はありませんでした。この不釣合いな知識が、パレスチナ/イスラエル関係への自身の視点を歪めているのではないかという懸念から、どうしても現場を経験したいと思い、受け入れをお願いしたのでした。もうひとつの動機は、NGOのお仕事とはどのようなものか体験してみたかったことと、INGOsが占領構造に対してどのような役割を果たすことができるのかを問うきっかけにすることでした。
後半2ヵ月はアドボカシー強化と新規事業案件の作成のために、イスラエル人が運営するパレスチナ支援を行うNGOを訪ねました。該当するNGOをリスト化し優先して聞き取りに行きたい団体を選定して質問票を作成した後は、アポを取り、一件ずつインタビューを取り、レポートにする作業を繰り返しました。この作業を通じて他のNGOで働く人々の意識や取り組み方を見られたのは興味深かったです。自由に作業を進めさせてくださると同時に、いつでもちょっとした質問を投げかけられる上司のおふたりに恵まれて、自分なりに完成させることができました。
このインターンの期間は、第三次インティファーダとも呼ばれた数か月とほぼ重なり、緊張したエルサレムでの日常生活を経験することになりました。西エルサレムから東エルサレムに徒歩で通勤するあいだ、西ではいつ車やナイフで襲い掛かられても反応できるようピリピリと緊張したユダヤ人を見て、東に入ると反対にどんな拍子に軍や警察に銃殺さるかわからない恐怖に内心怯えながらも何気ない素振りで速足に歩くパレスチナ人が、ダマスカス門付近でイスラエル兵にランダムに呼び止められ、ポケットの小銭まで出して静かに身体検査をされる様子を日常風景として見ることになりました。毎朝肌でその日の緊張具合を感じ、現地人として生きるならば逃れられない息苦しさや理不尽さを思って辛くなりました。同時にこうして自由に行き来できる私はどちら側でもアウトサイダーなのだと強烈に感じましたし、だからこそできることがあるならば進んで引き受けようという確信にもつながりました。
本当に貴重な機会をありがとうございました。今後とも微力ながら私なりに出来ることを続けて行きたいです。
こちらこそ、大きな財産を創ってくださり本当にありがとうございました!
次回からは、小寺さんがまとめてくれたNGOレポートを基に、イスラエル人によるパレスチナ支援活動のご紹介をしていきます。乞うご期待ください!
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