パレスチナを支援するイスラエルのNGO:1)The Alternative Information Center
オルタナティブ・インフォメーション・センター(The Alternative Information Center、以下AIC)は、1984年に設立されたイスラエル・パレスチナ合同の団体です。
(AICウェブサイトより)
「オルタナティブ」は「代替手段」を意味しますが、補足しながら団体名を訳すならば、「(メディアに映らない)占領下の人々の現実を伝える情報センター」といった意味合いになります。AICは情報発信に重きを置いており、実際に運営する「alternativenews.org」では、人権に根ざした最新ニュースを文章やビデオで発信しています(言語は主に英語)。
その設立は1983年のレバノン侵攻に遡ります。イスラエル国内の徴兵拒否者の連帯組織として非公式に創られたAICは、その後もイスラエル政府の対パレスチナ弾圧政策に反対し続け、現在でも「双方が恒久的な平和を得るためには、イスラエルによる占領を終わらせ、パレスチナ人の自決権や難民の帰還権を認めなければならない」としています。
AICに関わるスタッフはパレスチナ人・イスラエル人が半々ですが、元々は一カ所で働いていたスタッフたちは、2000年から続く分離壁建設により、事務所を2カ所に分けなくてはなりませんでした。現在はエルサレム事務所にイスラエル人スタッフが、ベイト・サフール事務所にパレスチナ人スタッフが勤務しており、その他にも20人前後のボランティアたちが活動しています。
AICスタッフによると、パレスチナ問題は多層構造になっているといいます。下から民衆レベル(Popular)、市民社会レベル(Civil Society)、政治的レベル(Political)の三層で、AICのビジョンでは、それぞれについてパレスチナ・イスラエル両側からアプローチすることを重視しています。特に政治的レベルでの活動を続けているからこそ、AICはパレスチナ側からも、団体として受け入れられているといいます。 活動では、「情報発信」と「関わり合う活動」を2つの柱としています。情報発信では、ニュース配信、出版、ウェブサイト運営を行っています。
「関わり合う活動(Engagement)」としては、パレスチナ・イスラエル双方の活動家が戦略を議論する合同ワークショップや、「AICafe」「AICamp」などを運営しています。また、イスラエルの議会で内務省への公開質問を行う等、政党や議員と連携してのロビー活動も盛んに実施しています。EUや米国に対する働きかけにも、情報提供を通じて関わっているとのことです。また、次世代を担う若者への支援活動も必要だと考えています。
実はJVCスタッフの金子も、以前はボランティアとしてAICに関わっていました。フィールドを回るツアーや、キャンプの参加者等も募集しています。ご興味のある方は、AICのウェブサイトを是非ご覧ください。
AICウェブサイト(セキュリティー上の問題でアクセスできない場合がございます。)
AIC facebookページ
※本記事は現地事務所の元インターン・小寺さんを中心とした聞き取り調査に基づいています。
取材
・小寺愛(元パレスチナ現地インターン)・金子由佳(パレスチナ現地代表)
編集
・大室奈津美(現 東京事務所インターン)・並木麻衣(パレスチナ事業担当)
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