パレスチナを支援するイスラエルのNGO:1)Ta'ayush, Free Jerusalem
(同団体ホームページより)
Ta'ayushは、イスラエル人とパレスチナ人双方が手を取り、日常の非暴力かつ直接行為で占領を止め、市民の完全な平等を達成することを目的として尽力している組織です。20名ほどで団体運営を行っており、全員がボランティアとして活動しています。
Ta'ayush は、NGOとしては非登録団体です。ユダヤ人とアラブ人の真のパートナーシップを構築することで、人種差別や双方を隔離している分離壁を壊す草の根運動をするため、2000年秋に結集しました。
同団体は、現在入植活動が活発化している南ヘブロンを活動拠点としています。毎週土曜日に10-20人のスタッフが、軍の反応を試すため意図的に軍事境界線に隣接した農地を訪れています。農地の風景を撮影したり、座りこみを行ったりするため、スタッフがイスラエル兵により逮捕されることもあります。しかし、あえてスタッフが逮捕されることで司法判断を仰ぐことも彼らの狙いです。
イスラエル人が逮捕される場合、拘束時間は数時間、長くて一晩ほどになります。そのため、活動家が不意に逮捕される時も、パレスチナ人活動家ではなく、イスラエル人活動家が出向くようにしています。また、活動地の村では道路の補修や公共施設の再建なども行っています。
(同団体ホームページより)
「入植により土地を追われ離散した家族が、10年ぶりに南ヘブロンの家に戻ることができた」といったような成果を100件以上達成しています。また、他の団体と連携し、地域コミュニティーをエンパワーすることに成功しています。この活動を行った結果、南ヘブロン内にあるC地区の村、"Susiya"の村民が主体となり、イスラエル軍部との直接交渉をすることが可能となりました。Ta'ayushやその他の連携団体は、その場に同席することで、常にSusiya村民の交渉をバックアップする姿勢を保っています。
(同団体活動風景)
活発な抗議活動を行っているにもかかわらず、入植地は未だに拡大を続け、土地の収奪も止まっていません。そういった状況であるため、自らの活動の影響力は微々たるものと知りながら、活動を継続していくモチベーションの維持が困難であるとのことです。また、司法判断を仰ぐことを目的とし、戦略的にスタッフを逮捕させていますが、量刑がほぼ下されることがないという点も困難の一つです。活動中はパレスチナ人に向けるほどではありませんが、入植者から罵声を浴びせられたり、暴力を振るわれたりといったことも発生しています。
(同団体facebookページより)
Free Jerusalemは占領一般に反対する団体ですが、特に占領による東エルサレムへの影響について、人々への啓発活動を行う団体です。運営は15人ほどで行っており、加えて下部組織も存在するため、全体では40人程度で活動を行っています。参加者の大半が20代です。
同団体は2014年の夏に設立されておりますが、NGOとしては非登録の団体です。ガザ戦争の最中から活動が活発化し、その後数ヶ月間続いたエルサレムでの緊張関係に対応しました。東エルサレムの状況について、西エルサレムの住民(ユダヤ系住民)は興味関心をあまり示さない為、エルサレムでの緊張関係への対応活動後も、東、西エルサレムの架け橋になるような活動を行っています。
同団体は、占領に関する問題を知るためのパネルディスカッションやツアーを企画し、抗議活動の参加者を増やすことを狙いとしています。イベントの例としては、東エルサレムとIsawiyaやShu'fatキャンプの住民が、西エルサレムにて、自らを語るイベントを開いたり、150人を超えるイスラエル人とともに、Shu'fat難民キャンプを訪問するイベントを開催したりしました。その他にも、教育やジェンダーなど、幅広い分野での活動を行っています。また、ほぼ毎日チェックポイントや道路封鎖の状況を把握しに行ったり、通学をする子どもたちを(警察による)催涙ガスなどの攻撃から守ったりしています。
(同団体facebookページより)
年間予算は5000NIS(日本円で約15万円)ほどです。ドナーと活動家の間には物理的に距離があり、資金調達も困難です。15万円の殆どは交通費に充てられています。
Ta'ayush・Free Jerusalem双方:情勢に応じて適宜必要な活動を行うことが必要であるとしています。
ビジョン
Ta'ayush・Free Jerusalem双方:占領の終焉と市民の平等をビジョンとしています。
・Ta'ayush ウェブサイト(現在一時的にアクセスできない状態です)
・Ta'ayush Facebookページ
・Ta'ayush Twitterページ
・Free Jerusalem Facebookページ
(セキュリティー上の問題でアクセスできない場合がございます。)
※本記事は現地事務所の元インターン・小寺さんを中心とした聞き取り調査に基づいています。
取材
・小寺愛(元パレスチナ現地インターン)
・金子由佳(パレスチナ現地代表)
編集
・山本千博(パレスチナ事業専属ボランティア)
・山村順子(パレスチナ事業担当)
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