REPORT

パレスチナ

東エルサレムより:必要なのは資金援助?自分たちの気づき?

東エルサレムの中学校を対象に、学校保健委員会の活動を通して生徒たちのレジリエンスと地域保健の向上を目指す事業に取り組んで4年目。今年度初めての試みとして、保健委員会同士で学び合うための経験交流を実施しました。2~3校1組で来訪校側と受入校側に分け、これまでに計4回の経験交流が完了しています。


(自分たちの活動について発表する男子生徒たち)


(ヘルシーフードの紹介、校内美化、リサイクル・・・と、学校保健員会の活動は多岐に渡ります)

他校の生徒と交流する機会自体が珍しい中、どの保健委員会のメンバーたちも日ごろの活動について堂々と発表し、お互いの活動のいいところを褒め合ったり、改善アドバイスを送り合ったり、活発に意見交換を行なっていました。


(各委員会の発表が終わった後は意見交換会が行われました)


(お互いの活動についてよいところを挙げたり、改善ポイントのアドバイスを送り合ったりしています)

そんな中、ドキッとする瞬間が。ある男の子が、JVCのみなさんに伝えたいことがあると立ち上がったかと思うと、おもむろに「私たちは日本からお金がほしいです。」と言うのです。どう答えたものか迷っていると、同行していたパレスチナ人通訳が、「本当に資金援助が必要なのだろうか?」という質問を保健委員会のメンバーに投げかけました。それに対してみんな思い思いの考えを共有していきます。「お金がないと活動できない」、「お金がなくてもできることはあるのではないか」、「まずは自分たちの意識が変わることが大事」、「でも、結局何かをするにはお金がかかる」と、議論がループにはまって行き詰っている中、みんながハッとする意見が挙がりました。「自分たちの意識と行動が変われば、お金の使い方が変わる。より有意義な使い道を選択できるようになる。例えば、これから中学校と小学校の間を隔てるフェンスを設置するためにJVC事業のお金を使うことになっているけれど、そもそも上級生が境界線をちゃんと守ることができればフェンスは必要なくて、お金を別のことに使えると思う」なるほど!と、この意見にみんなが頷いて、この議論は収束しました。

「お金は必要ない」というわけでもなければ「お金があればいい」というわけでもない。パレスチナで支援活動をしていると、資金援助の在り方について色々と考えさせられることが多いのですが、こうした話し合いを通して生徒たちが自分たち自身で答えを見つけていくプロセスをこれからもサポートしていけたらと思っています。



(「罰則を作れば恐怖でみんながごみをごみ箱に捨てるようになる」という男子生徒に対し、「恐怖で人をコントロールしても長続きしないのでは?」という疑問を投げかける筆者)

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