【イエメン】忘れられた戦争下に生きる子どもと「はじめの一歩」を
イエメンでは首都サナアを含め北部を制圧しイランが支援するアンサール・アッラー(フーシー派)と南東部を治めサウジアラビアを中心とする連合軍が支援する暫定政府との内戦が2 0 1 5 年から継続しています。
「大国の代理戦争」ともいえる状況下、2 0 2 3 年3 月にはイラン、サウジアラビアの国交正常化の動きがありましたが、国際社会の関心は低く「忘れられた戦争」であり、
国民の3 分の2 以上にあたる2 , 1 6 0 万人が支援を必要としている「世界最悪の人道危機」下にあるといわれています。
イエメンでの本格的な事業開始に先立って、2022 年度は小規模に活動を実施しながら、情報収集および現地調査を進めました。小規模プロジェクトとして、現地NGO「Nahda Makers Organization(NMO)」をパートナーに、アデン市タワヒ地区公立ディア幼稚園に教室1棟を建設し、タワヒ地区教育事務所の太陽光パネル設備を設置しました。また、支援プロジェクトのモニタリングを兼ねたイエメン国内調査を行いました。
幼稚園の教室設置の結果、学年の途中にも追加で50 人の入園登録が実施され、同園の登録者合計を310人まで増員することができました。
ディア幼稚園を含む地域の幼稚園では、多くの入園希望者が待機している状態の中、園舎の支援が大きな励みとなりました。イエメンでは、学費・学用品の負担、学校へのアクセス、保護者の理解不足などが原因で不就学の子どもが270 万人以上いるといわれています。
とりわけ紛争による避難民の子どもたちは、相次ぐ避難で教育を継続することができなくなり不就学率が高く、紛争や困難な経済状況が心身に悪影響を及ぼしています。多くの大人から子どもの成長、イエメンの将来への心配の声が聞かれます。紛争の影響を受ける子どもの保護や教育機会の提供は急務です。
紛争の影響を受けた子どもの発達、幸福感、保護、回復力が強化されることを目指し、援助への依存生活を強いられている戦闘地域に近いタイズ県内の国内避難民を対象に、教育や就業の権利につながる身分証明書と出生登録書の取得支援およびノンフォーマル教育と保護の場となる子どもにやさしいスペース(Child Friendly Space)運営支援を、現地NGO「NMO」をパートナーに実施する予定です。
さらに、現地他NGOとも協力し、イエメンの情報を日本国内に伝え、政策提言につながる発信を行います。
紛争下で暮らす子どもたちは多くの場合、極度の心的外傷を受けています。紛争は、子どもたちの認知的、社会的、身体的発達に、長期的に大きな影響をもたらします。
そのような状況にある子どもたちに、安全な場所で友達と学習することで、その先の人生を自らの力で創り、最大限の可能性を広げていってほしいと考えています。
パートナーNGO「NMO」Grant & Reporting officerのバドル・シャビーブさんはこうJVCに話してくれました。
イエメンでは、教育プロジェクトが国の発展や人々のエンパワメント、男女平等においてとても重要です。紛争や複雑な社会的・経済的課題を抱えるこの国では、教育は個人の潜在能力を伸ばし社会発展を促す明るい未来への道標です。
教育プロジェクトでは、読み書き、批判的思考、問題解決能力の向上などイエメンの若者たちに重要な知識や技術の提供を行っています。
また、女子教育により女性の社会参画を促し貧困と差別の連鎖を断ち切ることにもつながっています。
教育プロジェクトは、イエメンの将来への投資です。教育を優先することで、より安定した
豊かな社会をつくる教養のある世代を育成することができるのです。
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幼稚園の教室建設とソーラーパネルの設置が完了しました!
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