「教育は不可欠なもの」イエメンからの動画メッセージをお届けします!
イエメンで共にプロジェクトを進めるパートナー団体である現地NGO、「Nahda Makers Organization(NMO)」のシャリーフさんとアシュラフさんのインタビュー動画をお届けします。
「教育分野で今関心を寄せていることは何ですか。」という質問に対しては、イエメンの抱える様々な教育分野の課題がでてきました。
シャリーフさんは以下のように語ります。
「いま関心を寄せているのは、学校からの退学です。小学校の児童は家族の食料を得るために学校をやめてしまいます。勉強の代わりに生活のために働くのです。
教育の大切さを理解してもらい、また、男女間の教育格差も是正することが必要です。家族のために水を運ぶ代わりに教育を受けることの大切さについて働きかけています。」
アシュラフさんも、様々な課題を挙げてくれました。
「ここは、気温が高く、湿度も高いです。電気の供給が不安定なので、教室に扇風機さえ十分にありません。暑さのため、学習に集中できません。
また、ほとんどの生徒は朝食を食べずに学校に来ます。経済状況が悪いので、家族は3食まともに食べることができません。空腹を我慢したまま授業を受けるのです。空腹のまま、酷暑の教室で新しいことを学んでいます。
また、教師側の問題もあります。ほとんどの教師の給料は低く、無償のボランティアで授業をしています。受け取れて、月に50ドル以下です。ですから、教育には多くの面で支援が必要です。教師に対して、そして教育設備に対してです。机や椅子も足りません。一つの机(2人用)に3,4人が座ることもあります。設備がとても不足しているのです。」
JVCの伊藤と今中が現地調査に行った際の結果からも、お二人が挙げて下さったような課題が多くみられました。二人の例をとって、ご紹介したいと思います。
ホデイダ出身。アデンには 4 年前来ましたが、2 年前に今いるサアドキャンプに移動しました。
ホデイダは危険でした。キャンプ外の学校に通っていましたが、働くために中退しました。父、母、下に弟妹が 4 人いて、両親が高齢のため自分が家族を支えています。プラスチック収集をして、2,000-3,000イエメンリアル/日(約 200-300 円)の稼ぎがありますが、たまに何も収入がない日もあります。
6 時に家を出て昼の 12 時に帰ってきて、また外に出かけ 17 時に帰って来る生活です。帰ってからは何もしません。サイト内の補修校(*退学、不就学の学齢期児童用の教室。修了後正規学校に転入できる) にも行ったことはありません。弟や妹たちも学校には行っていないです。
ホデイダ出身で、キャンプには2019 年に来ました。夫は行方不明になっていて、10歳・5歳・3歳の3 人の子どもがいます。両親や兄弟は同じキャンプに住んでいます。
戦争前、夫は日雇いで物を運ぶ仕事をしていましたが、戦争で兵士(暫定政府軍)として出兵して以来行方不明になりました。誰に聞いても行方を知らないと言います。
現在は、プラスチックを集めて生計を立てています。朝は暑いので、午後 2-8 時まで働いています。子どもたちは学校に行っていません。出生登録も、逃げてきたため紛失したので、ありません。両親も高齢で、兄弟たちも沢山の子どもがいて、私の子どもを面倒を見るのは難しいので、子ども 3 人を連れて プラスチックを集めています。
現在は支援機関から生活費の支給がありましたが、減額となることが決まっており、これからの生活が不安です。
動画の冒頭でアシュラフさんが語ってくれているように、教育は必要不可欠なものでありながら、現在のイエメンにおいては十分に教育機会が得られない状況が続いています。
家族の生活を支えるために、学校を中退して働くハッサンさんや、預け先がなく、子どもを連れてプラスチック回収を続けなければならないアマニさん。避難先で経済的にも苦しい中、彼らが負のスパイラルを抜け出すために必要なのが、教育です。
今回はアマニさんのお子さんのような就学前教育の必要とされるお子さんをサポートするための幼稚園支援の活動を行いますが、現地の状況を見つつ、来年度以降の支援の可能性を探っていく予定です。
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