困難な家庭環境にある子どもの支援
活動地はリンポポ州ベンベ郡です。 リンポポ州は、南アフリカ(以下、南ア)の中でも「貧困州」と位置づけられ、医療機関や公的なサポート体制が他州に比べて不足しています。 また、人の流出・移動が国内で最も多い州のひとつで、人口の70%以上が29歳以下という「若い州」であるがゆえに感染リスクが高いと言われています。
貧困状態にあり日常生活で大人による保護が受けられない、困難な家庭環境にある子どもたちのために地元住民が運営する、2つのDrop In Center (以下DIC)の支援を実施しています。 活動は、母親たちがHIV陽性者や子どもたちのケアに携わる地域住民組織LMCC(Light of Mercy Community Care)と協働で行っています。
これらを通じて、彼ら・彼女らが情報・知識を身につけ、考え、生きていくための道を自ら切り開く力をつけることで、世代を超えた感染拡大予防にアプローチすることを目指します。 また、青少年たちの活動が、DIC内で世代を超えてつながっていくための仕組みづくりとそのサポートをするためのDICのケア・ボランティア(村の母親たち)にも研修を提供します。 具体的な活動内容はこちらをご覧ください。
事業地 | 南アフリカ共和国リンポポ州ベンベ郡ムペニ村(約2,000世帯)/ムペゴ村(約950世帯) |
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直接 対象者 |
「センター」のケアボランティア20名、センターに通うOVC(青少年含む)約250名 |
事業実施 期間 |
2019年4月~2023年3月(2019年度は4年間の一年目) |
活動 | (1)ケアに関する研修 (2)DICの活動プログラム研修 (3)青少年(11~24歳)のリーダーシップ育成研修 (4)食料確保のための菜園づくり研修 |
カウンセリングや救急法などを習得する研修を実施し、地域のケアサポート体制を強化していきます。 また村長やソーシャルワーカー、学校など、地域の関係者と協力して子どもたちが直面する課題を解決する方法も学びます。
DICのケアボランティアが青少年活動を継続的に支援し、それが次世代に続いていくためのサポートをするための研修を行います。 研修では、DICを「面白く、通いたくなる」場とするため、ケアボランティアが、ゲームやスポーツを通じた学習方法、子どもたちの年齢に応じた活動プログラムづくりを学びます。
(ロールプレイングでケアボランティアと子どもを演じ、子どもの話を聞くカウンセリング法を学ぶ様子)
2村のDICに通う青少年らを対象に研修を実施、DICにおける日常的な活動を活性化させると同時に、彼ら・彼女らがお互いに協力し、学び合う「ピア・サポート」の体制を強化します。 具体的には、「スカウト」のプログラムをアレンジした研修として、リーダーシップ研修、人権に関する研修、ジェンダー研修、HIV/エイズに関する研修、チームワーク研修などを実施します。 また、青少年自らが、研修で得た知識を使ってHIV/エイズ予防などについて地域内で伝えていくための研修を実施します。
ケアボランティアおよび青少年が身近にある資源を用いて持続的に食べものをつくっていくための菜園研修を実施します。 ケアボランティアが自然農業による作物の育て方を学び、センターの敷地内に菜園をつくり、収穫物をDICで調理し、子どもたちの年齢に応じた活動プログラムづくりを学びます。
南アの各地には、エイズの影響を含めた保護者の不在、貧困など、困難な家庭環境にある子どもたち(Orphan and Vulnerable Children/孤児・脆弱な子ども、以下OVC)がいます。彼らが学校帰りに立ち寄り、遊び、勉強しながら、必要なサポートを受けられるように、公的な制度に基づき 5〜20代前半のOVCが通う「子どもケアセンター」(以下「センター」)が設立されています。センターは地域の女性たちを中心とした「ケアボランティア」によって運営されていますが、ケアボランティアの多くは研修を受ける機会もなく、OVCのケアに関する知識やスキルを持っていません。
JVCは2019年度より、南アの中で「貧困州」とされるリンポポ州で、2村・2カ所のセンターと活動を開始しました。具体的には
を実施しています。OVCたちの今の課題に向き合い、支えながら、OVCたちが自ら考え、行動する力をつけることで、未来の悪循環を止めることを目指して活動しています。
2020年3月以降、コロナ感染拡大の影響を受けて学校と同時にセンターも閉鎖され、JVCの活動も大きな制約を受けました。学校は10月に再開しましたが、センターは2021年3月現在も閉鎖。OVCが1年以上、家庭外でサポートを受けられていません。
2020年6月、JVC はケアボランティアと合同で、OVCの現状を把握するための家庭訪問調査を実施しました。その結果、約130名のOVCの全員が学校とセンターで朝と放課後に提供される給食にアクセスできないため、食べることすらままならないこと、その分の食費負担が家計に重くのしかかっていることがわかりました。このため緊急に食料・衛生用品の配布支援を3月までに6回実施しました。同時に10月からは、現活動地で特に家庭環境が厳しく、菜園づくりの経験がない世帯の保護者とOVCを対象に、自宅の敷地でできる自給のための菜園づくり研修を実施し、年明けには野菜が収穫できるようになりました。
(祖母と暮らす子ども。子どもだけで暮らす世帯もあります。)
2021年度は、新型コロナウィルスの影響を受け、上記(1) と(4)の活動は滞りなく実施することができましたが、(2) と(3)は実施できませんでした。
(1)の活動では、子どもの虐待とトラウマ、カウンセリング 法、HIV/エイズなどについて学びました。その結果、ケアボランティアらが、OVCの家庭訪問やセンターでの観察を通 じ、以前は見逃していた OVC らの異変や問題に気づき、対 応し始めるようになりました。また、OVC が抱える問題の なかには保護者や住民から寄せられるものもあり、地域の人たちと協力しての OVC のケア・サポートの動きも見られるようになりました。
(4)については、ケアボランティアらが、収穫物と周辺の関 係者(学校や企業)からの寄付と合わせて、年間を通じて継続的に給食を提供し続けることができるようになっていま す。
(救急法研修では布で倒れた人を運ぶ方法を学びました)
(HIVエイズ研修中にHIVウィルスの感染経路と体内への作用を復習するケアボランティア)
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