避難民の子ども達等を達対象とした補習校運営や学用品の支援
2011年に発生した紛争の際に戦闘地域からカドグリに逃れた避難民たちは、親戚や知り合いを頼って市内や周辺の半農村地帯で生活を始めました。 JVCは、こうした人々に緊急食料支援を実施した後、彼らが自らの手で食べ物を得ることができるような農業や生計活動の支援に、活動の軸足を移しました。
2013年度からは避難民の居住区を中心に井戸掘削などの給水設備の支援も開始しました。 2014年度から2015年度にかけては避難民の再定住支援として、再定住用住居100戸の建設、トイレ設置支援などを実施しました。
2016年度からは、女性と子ども支援に重点をおいて活動を行っています。 避難民の子どもたちの多くは出生登録をしていないため、学校に通ったり、医療費の免除を受けたりすることに困難が生じます。 JVCは、避難民及び地域住民の児童が出生を登録できるよう、手続きを手伝ったり費用を支援したりしました。 また、多くの小学校で教室が不足しているため、より多くの児童が学校に通えるよう校舎の増設や改修を実施しています。
2016年に政府・反政府側の双方が「自主停戦」を宣言してからは、情勢は安定をみせています。 こうした中、カドグリ郡に隣接するリフ・アシャギ郡などでは、避難していた人々の帰還がみられるようになりました。 しかし、帰還先の給水施設や学校等のインフラは破壊されるなどしており、安心した暮らしを送ることが難しい状況です。
紛争からの避難や家計の事情など様々な理由によって就学機会を失った児童を対象に、4地域で補習校を運営しました。
アラビア語、算数、英語などの基礎科目の授業に加え、子どもたちが安心して過ごせる居場所を提供し、度重なる戦闘や避難によって精神的ショックを受けた子どもたちを対象に、ソーシャルワーカーによる心理サポートやダンス、スポーツ、お絵描きなどのレクリエーション活動を実施。軽食の提供も行いました。
授業の質の向上のために指導教員に対する研修を行ったほか、スーパーバイザーによる助言、月例教員会議では成功例や課題の共有を通して向上を図りました。
補習校の実施地域で保護者グループを組織し、校舎のない地域には学びの場となる小屋の建設、水汲み、掃除、欠席児童のフォローアップといった補習校の手伝いを推奨しました。
また青年を中心としたユースクラブを結成し、ライフスキル研修やマネジメント研修を実施したほか、青年が行政と連携を図れるような機会を設けました。
研修を受けた青年たちから、教育の重要性について伝える啓発活動を企画したいという声があがり、コミュニティとの調整や運営をサポートしながら啓発活動を実施。対象地域で合計2811人の住民が参加するという成果につながりました。
情勢が不安定な中、補習校は出席率も高く登録児童の95%が修了試験に合格しました。青年が企画・運営した教育に関する啓発では、自ら教育を受けたことがない保護者が多く参加。「学びたい」という意識が高まり、複数の地域でコミュニティの手によって大人向けの識字教育が開始されました。
補習校修了後の児童が編入する予定の正規校は、紛争の影響で休校しています。これまでの活動地も含めた7地域で、子どもたちの居場所の提供を続けています。正規校が再開しないと児童の行き場がないため、体制と情勢を踏まえつつ、より多くの児童に継続的な教育の機会を提供できるようにすることが課題です。
補習校に参加したアブドゥルカリーム君(11歳)
2022年にカドグリに避難してきました。今まで学校に通ったことはなく、補習校に参加する前は家の手伝いをしていました。補習校修了後も引き続き学校で勉強したいです。しかし、目が見えないため、学校に行くのを手伝ってくれる人が必要です。将来は医者になりたいので、もっとたくさん勉強しなくてはなりません。
現地スタッフ:イスマイルからの報告
盲目というハンデがありながら努力を重ね、修了試験では学年で6番目の成績を修めました。またレクリエーションの時間には歌の才能を発揮し、修了式では歌を披露してくれました。
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