REPORT

スタッフインタビュー:大澤みずほさん「一人の人間としてこういうことをやっていきたい。」

JVCスタッフのキャリアに焦点を当てて、NGO職員になるまでの軌跡に迫ります。

将来、国際協力を仕事にしたいと思っている人に向けて何かヒントになれば幸いです。

今回は、JVCパレスチナ事業で現地の駐在員として活動をしている、大澤みずほさんにインタビューをしました!(※このインタビューは2023年5月に行ったものです。)

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プロフィールを教えてください。

私は現在、2018年から現地駐在員として、パレスチナ事務所で勤務しています。

その中でも、東エルサレム地域では職業訓練を通した女性のエンパワーメント活動、ガザ地区では栄養失調の子供たちの失調の予防、改善活動を行っています。

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国際医療救援を目指して約5年間日本の救急救命の現場で看護師として勤務したのち、地域保健に興味を持たれた大澤さんは青年海外協力隊で2年間パラグアイに滞在しました。

そのなかで、十分な医療体制が整っていないのにも、教育だったり、政治、貧困など様々な背景があることを知った大澤さんは、現地の人が必要とするものに焦点をあてたより包括的な支援に興味を持ち始めました。

そこから、地域に限らない広範的な支援をしたいということで、NGOのインターン経験を経て現在のJVCに入職、2018年からパレスチナ担当として、現地事務所に勤務を始めました。

JVCでの活動について教えてください...!

東エルサレムに現地事務所を置き

①パレスチナ自治区の東エルサレム、②ガザ地区 で活動しています。

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イスラエルによる占領と封鎖が終わらないパレスチナで彼らの活動支援を通して、現地の人々を支えています。
現地の状況や声を日本の人々に伝え、一緒に考える機会をもち、パレスチナに対する関心を高めることで、地球市民として誰もがこの問題に取り組むための橋渡し役も担っていきたいと考えています。

パレスチナでの活動についてはこちら

活動内容

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◎東エルサレムでは、

女性の生計向上とエンパワメント事業

さらに現地の声を政策に反映させる為、情報収集・政策提言も行っています。

パレスチナ現地の人々の様子は?

2018年7月に入職した1か月後、早速パレスチナ駐在員のヘルプとして2ヵ月間エルサレムに滞在しました。

当初は中東の現状をそこまで把握しているわけではなかったのですが、実際に足を踏み込んでみて、思ったよりも普通に人が生活していたのに驚きました。

それと、オープンでフレンドリーな人(ちょっとラテンの人に似てる…!)が多かったです!

国際協力の仕事をしていて一番大変だったことは?

大変だったことはそこまで多くなかったですが、パレスチナの問題を目の当たりにするときに、大きなジレンマを感じることが多かったです。

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例えばNGOの活動全般のジレンマ

NGOなどの支援は応急処置的な要素が多く、政治的な問題などへの根本的な解決に向けては、アドボカシー活動など、大規模な事業を展開していく必要があります。

そうなると、活動が回らなくなってしまうんです。

現地には、応急処置的な支援を必要としている人も多いため、活動が回らないことで困る人々が出てきてしまうので、必ずしも根本的な解決に向けた活動を行うには様々な障壁が存在してしまいます。

同様に、自分は外国人の特権を感じることが多く、現地の人が国境を行き来できなかったり、差別を受けている中、国境間を自由に出入りできたり、差別を受けることはなかったりなどすることがよくありました。

そのように国籍や生まれた場所によって事態が全く違ったりするので、一人の人間としてもジレンマを感じます

パレスチナの人々は、現状起こっている問題に対してどのようなことを感じますか?

「なぜパレスチナ人というだけでそういった目に遭わなきゃいけないのか?」と憤りを感じていると思います。

他の国でも同様のことが起きていて、自分たちのことが忘れられているのではないか、アラブの国々からの支援の輪が薄くなりつつある現状を踏まえると、政府も信用できていない状況です。

そんななかで、どういう思いで国際協力に携わっていますか?

一つの分野のプロフェッショナルという立場から支援に携わるというよりも、1人の人間としてこういうことをやっていきたいという気持ちを原動力に活動を行っています。

今まで自分は国籍によって何らかの制限を受けたりすることもなく、日本人であることで何不自由なく過ごしてきました。

しかしパレスチナの人々は、それらの当たり前が全く通じない世界で生活を強いられています。

だからこそ、いかに現地の人とのコミュニケーションを通して現地の人の生の声を聞いて、理解し、問題解決を図れるかを大事にしています。

そのような、支援する人とされる人の区別がなく、現地の人と一緒に問題解決を目標にしていけるのは、JVCの活動ならではですね。

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今までの活動の中で、看護師の経験が活きた瞬間ありますか?

パラグアイの病院で実際に活動を行った時は自分の経験が直接的に活きたと思います。自分で小学校から高校の校長に直接交渉をして授業を行ったのも自分の知識をアウトプットする機会で楽しかったです。

病院では、パンフレットの作成を通して、妊婦さん向けに出産の前後のノウハウを紹介し、学校では、健康教育(リプロダクティブヘルス)についての授業を行いました。

女性エンパワーメント活動を通して身に着けてほしいことは?

自信を身に着けるのもそうですが、女性だけじゃなく男性が女性の勤労を受け入れてサポートしてくれる人が増えてくれればいいなと思います

女性エンパワーメント活動の中には、男性の理解促進に向けたスタディツアーなども含まれていて、もっと広まってほしいなと感じています。

【さいごに】国際協力をしたい人に伝えたいことはありますか?

挑戦したいと思っているのであれば、挑戦してみましょう!

JVCに限らず、NGOは自分のやりたいことを実現しやすい場所ですし、このキャリアを経験しないと職員にはなれない…!といった絶対的なキャリアステップも存在しません。

むしろ、NGO以外のステップを踏むなどして、自分だけのキャリアを強みにNGOに入って活動を広げていくことが大切だと思います。

そのために、言語習得などの今できることをちょっとずつでもいいのでやっていきましょう!

ガザ緊急支援について

2023年10月7日以降、イスラエルとパレスチナ・ガザ地区で続く衝突。
イスラエル軍の空爆や地上侵攻は激しさを増す一方です。


ガザ地区では2023年12月末現在、すでに2万人以上の命が奪われ人口の85%を占める190万人もの人が家を追われて避難民となり極限状態の中で生活を続けています。

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被害を受けているのは、私たちと同じ、普通の人びと。そこに暮らしていた、ひとりひとりの人間です。
これ以上、何の罪もない命が奪われることがないように。人びとの負った心身の傷が、少しでも癒えるように。

ガザの人びとを支えるJVCの活動を応援してください。

JVCの取り組み

時の経過とともに負傷者が増える一方で、物資や燃料は不足し続けており医療体制は崩壊しています。

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このままでは、空爆による直接的な死のみならず、間接的にもさらなる命が失われることになります。

JVCは現地の病院や医療系NGOと連携し、これ以上尊い命が失われることを防ぐための支援として現地病院の支援現地医療系NGOの支援を行っています。

また、極限状態が続き、困窮する被災世帯に向けて、現金給付支援を準備中です。
活動の詳細は活動ブログで更新しています。

大澤に関する記事

◎日本国際ボランティアセンターWEBサイト上でのスタッフ紹介

2020年度のインタビュー記事

パレスチナでの活動

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